歯と口のトラブル

口の中のネバネバはどうすればよい?

口の中がネバネバした状態で朝起きると気持ち悪く感じてしまいます。口の中のネバネバを解消する方法や、なぜネバネバするのか、予防も含めて詳しくご紹介いたします。

口の中のネバネバを綺麗にするには?

起床時や、長時間話さずに過ごした後、口の中がなんだかネバネバすると感じたことはないでしょうか。このネバつきは唾液の減少や、細菌の繁殖によって起こることが多く、放っておくお口のトラブルの原因や心疾患の悪化につながることがあります。そんな不快なネバネバ感を解消するには、次のような方法が効果的です。

  1. こまめな水分補給
  2. 正しい歯みがきや舌ケア
  3. 鼻呼吸を意識する
  4. キシリトールガムや唾液腺マッサージ
  5. 歯科医院での定期的なクリーニング

ネバネバが日常的に続く場合は、ドライマウス(口腔乾燥症)や他の病気の可能性もあるため、気になる方は早めに歯科で相談しましょう。お口の中を快適に保つことは、全身の健康にもつながります。

口のネバネバの原因

では、口の中がネバネバする原因を挙げていきましょう。

歯周病である

サイレントキラーと呼ばれる歯周病は、自覚症状があまり出にくいものです。歯周病が進行すると、歯肉溝浸出液が出始め、ネバネバした状態になります。

ドライマウスである

鼻呼吸ではなく口を開けて呼吸する癖があると、気道を確保するため低位舌となり、細菌が増えやすくなります。特に寝ている間は無意識下であるため、口呼吸をしていると、朝のネバネバ感につながります。

舌苔など細菌が増殖した

歯や舌の表面に付着する汚れが増えると、細菌が増殖しています。歯磨き不足や舌のケア不足が続くと、細菌が増えてしまうため、口臭やネバつきを強く感じるようになります。

食生活の乱れやストレス

甘いものの摂りすぎや不規則な食事、過度なストレスは、唾液の質や分泌に影響します。これが結果的に、口の中の不快感につながることがあります。

ストレスで唾液の質が変わる

ストレスや緊張が強いられる時は交感神経が働くことから、舌下腺からねばねばしている粘液性唾液が出ます。粘液性唾液は、粘膜の保護、細菌の侵入を粘性により防御するなどの機能があります。対して、リラックスしている時は副交感神経が働き、耳下腺からサラサラの漿液性唾液(しょうえきせいだえき)が出ます。お口の中を清掃する自浄作用、消化酵素を含んでいるため消化を助ける機能があります。

全身疾患にかかった

糖尿病やシェーグレン症候群などの全身疾患が関係している場合もあります。高血圧の方は降圧薬、うつ病の方は抗うつ薬、花粉症やじんましんの方は抗ヒスタミン薬を服用されている方も多いです。それらの薬には唾液の分泌を減らす口渇という副作用があります。

シェーグレン症候群とは

自分を守る免疫が、何かの原因により自分の体を攻撃する自己免疫疾患です。シェーグレン症候群は全身の臓器に様々な炎症が起きる膠原病のひとつで、難病法に基づく指定難病の一つと認定されています。症状として、ドライアイやドライマウス、関節痛などが起きてしまいます。

加齢によるオーラルフレイル

噛む、飲み込む、話すなどの口腔機能が軽減している状態をオーラルフレイルと呼びます。年齢を重ねると、舌や顎、顔の周囲の筋肉に衰えが出ます。口を動かす回数が減ることから唾液腺からの分泌量が少なくなってしまいます。

口の中のネバネバを予防するには

口の中のネバネバを予防するにはどうすれば良いでしょうか。

こまめな水分補給

体の水分摂取量が不足してしまうと、必然的に唾液の分泌も減り、口の中が乾きやすくなります。一日およそ1.5リットル~2リットルの水を目安にしてください。意識的に水やお茶をこまめに飲むことで、口の中を潤しネバつきをやわらげます。特に起床直後や食後に水を飲む習慣をつけましょう。

カフェインが入った飲み物は要注意

カフェインが入った飲み物は利尿作用を促進するため、より水分を体外に排出します。水がどうしても苦手という方は、ノンカフェインの麦茶などにしましょう。

鼻呼吸を意識する

口呼吸は口を開けないと呼吸できないため、乾燥しやすい状況になり、細菌が繁殖しやすい環境でネバネバを悪化させます。日中のみではなく、寝ている間も鼻呼吸を意識することが大切です。普段から鼻で呼吸するよう心がけ、就寝時に口が開いてしまう方は市販されているマウステープの活用もおすすめです。

鼻呼吸で全身の健康状態が変わる

鼻呼吸に変えると、鼻はフィルターのような役割をするため、風邪やウィルスにかかりにくくなります。また、口が閉まっていることで口の周囲の筋力も保つことができます。

正しい歯みがきや舌ケア

歯や舌に汚れ(プラーク、食べかす、舌苔)が残っていると、それを糧に口腔内に常在する細菌が増えてネバネバの原因になります。1日2〜3回の丁寧な歯みがきに加え、歯間ブラシやフロスを使って、口の中の細菌のかたまりを減らすことが重要です。歯と歯茎の間の部分や歯と歯の間に注意して掃除し、歯に添わせてフロスを行ったり、舌ブラシで舌を軽く清掃する習慣も効果的です。寝る前のケアを丁寧に行うだけでも、翌朝のネバつきは変わります。

マウスウォッシュも効果あり

マウスウォッシュで口をゆすぐのは細菌増殖を抑制する意味合いでも効果的です。アルコールの有無が気になるところですが、アルコール有りの分は刺激が強く、口内炎などの炎症があるとしみる可能性があります。爽快感が控えめですが、お口の乾燥が気になる方は低刺激のノンアルコールのマウスウォッシュが良いでしょう。

キシリトールガムや唾液腺マッサージ

キシリトール入りのガムをよく噛んで食べる習慣は、頬や口、舌をしっかり動かすため、唾液の分泌により効果的です。また、耳下腺、舌下腺、顎下腺などの唾液腺をやさしくマッサージするのも良いでしょう。特に耳下腺のマッサージを行うことで、サラサラな唾液が分泌されやすくなります。

リラックスできる環境が大切

ストレスがかかる生活が続くとどうしても粘液性唾液が分泌されます。良質な睡眠がとれてリラックスできる環境で体を休めて漿液性唾液を分泌できるようにしましょう。

歯科医院での定期的なクリーニング

歯石やバイオフィルム(細菌のかたまり)は歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシのみでは取り除けません。定期的に歯科医院でのプロによるクリーニングを受けることで、それらを除去して清潔な状態を保てます。3〜6か月ごとの定期検診で、口の中を清潔に保ちましょう。

歯科医師や歯科衛生士も受診する

歯科医師や歯科衛生士というお口のプロであっても、自分自身の歯の衛生状態は、歯科医院を受診して保ちます。健康な歯を維持するためには、定期検診に行き、何かトラブルがあれば早めに対処してもらうことが大切です。

ネバネバは放置禁止

たかだかネバネバする位で歯医者さん行くのもなと思ってはいけません。放置すると重症化してしまいます。

虫歯や歯周病が進行

ネバネバした状態は細菌が増殖しており、糖をエサにして酸を出し、歯のエナメル質を溶かします。唾液の自浄作用が弱まることで、虫歯ができやすい環境になってしまいます。歯ぐきの周りに細菌がたまり続けると、歯周炎という炎症を起こしてそれが進むと歯周病になります。初期は出血や腫れのみですが、進行すると歯を支える骨が溶けて歯がグラグラになってしまう怖い病気です。

口内炎や口臭が悪化

唾液には、口の中の水分量を維持し、汚れや細菌を洗い流す働きがあります。唾液が減ってネバネバした状態が続くと、乾燥して細菌が増え、口内炎が発生したり、強い口臭を引き起こす原因になります。自分では気づきにくいことから、周囲との人間関係にも影響することがあります。

味覚障害のリスクが高い

唾液は食べ物を消化しやすいような状態にして、味を感じるセンサーである味蕾(みらい)に成分を届ける役割を担っています。しかし、唾液の減少によるドライマウスでは、細菌の増殖が進み、この機能がうまく働かなくなります。その結果、味が薄く感じたり、何を食べても同じ味がしたり、苦みが口に残るといった味覚異常 が起こることがあります。高齢者は、加齢や薬の影響によるドライマウスが背景にあることも多く、ネバネバを放置すると食欲の低下や栄養不足につながることがあります。

誤嚥性肺炎のリスクが高い

唾液が減って口腔内が乾燥し、細菌が増えた状態が続いたままでは、その細菌が 誤って気道に入り込む誤嚥(ごえん)リスクが高まります。特に高齢者では、食事中や睡眠中に唾液や食べ物が気管に入ってしまうと、肺に細菌が入り込み、炎症を起こす誤嚥性肺炎 が発症することがあります。誤嚥性肺炎は、高熱や咳、呼吸困難、体力の低下などを引き起こし、重症化すると命に関わることもあります。ネバネバを放置して口の中が細菌だらけの状態になると、知らないうちに誤嚥のリスクを高めていることになるのです。

まとめ

口の中のネバつきくらいと思って放置すると、食事の味が分からなくなったり、細菌が肺に入り込む誤嚥性肺炎など重大な体のトラブルにつながることがあります。日々のケアや定期的な歯科受診で、口腔環境を清潔に保つことは、全身の健康を守る第一歩です。ネバネバが気になる方は、早めに歯科医院でチェックを受けてみましょう。