子供の頃にしっかり噛むと健康、発育、集中力が伸びる?
子供の頃にしっかり噛むのよ!というのをよく言われたという方も多いでしょう。それにはきちんと理由があります。最近はやわらかい食べ物が増えたり、スプーンで小さくして与える機会も多くなったことで、前歯を使ってかじる経験が少なくなってきています。よく噛むことは、虫歯予防や消化を助けるだけではなく、子どもの脳の発達とも深く関わっていると考えられています。
目次
最初から噛めるわけではない
子どもは、生まれた瞬間から十分に噛めるわけではありません。乳歯が生えはじめ、離乳食を進める中で飲み込む、噛むといった動きを少しずつ経験しながら、口まわりの筋肉や顎が発達していきます。咀嚼の発達は、主に次のような段階を経て進みます。
- 生後5〜6か月のごっくん期:舌で食べ物を喉のほうへ運んで飲み込む
- 生後7〜8か月のもぐもぐ期:舌を上下に動かし、歯茎でつぶして食べる
- 生後9〜11か月かみかみ期:顎を上下に動かし噛む動きが少しずつ出てくる
- 1歳半〜3歳の完了期:奥歯を使ってしっかり噛めるようになり、噛む機能が整ってくる
こうした流れを繰り返す中で、舌や頬、唇などの筋肉が連携して動けるようになり、食べる力がより安定していきます。
子供がしっかり噛むことの重要性
子供の健康な成長には、栄養バランスのとれた食事、生活リズム、運動などさまざまな要素がありますが、実はしっかり噛むことも大きな役割を果たします。噛むことは単に食べ物を細かくする動きだけではありません。噛む動作が脳や顎、消化機能、さらには心身のバランスにまで影響を与えることが、近年の研究や臨床現場で明らかになっています。
1.しっかり噛むと歯と顎の発育が促される
子どもが食事の際にしっかり噛む習慣を身につけると、顎や歯並びの正常な発育が期待できます。噛むことで顎の骨や周囲の筋肉が刺激され、発達が促進されるため、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保しやすくなります。
これが将来的な歯並びや噛み合わせの健全さにつながるのです。
- 顎骨の適切な成長を促す
- 歯並びの乱れを予防する
- 咀嚼の効率が上がる
しっかり噛むことは、生涯にわたる口腔健康の基礎を作る重要なステップになります。
消化と栄養吸収を助ける
しっかり噛むと、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進されます。唾液にはデンプンを分解する酵素(アミラーゼ)が含まれていて、食べ物を細かくする初期の消化を助ける役割があります。結果として胃や腸への負担が軽くなり、消化吸収がスムーズに進むのです。消化が効率よく進むと、下記のような効果も期待できます。
- 胃もたれや消化不良の予防
- 食事後の不快感の軽減
- 食事からしっかり栄養を取り入れられる
よく噛むことで唾液が増えれば、自浄作用もあるため、口内環境が整い、むし歯予防や口臭対策にもつながります。
2.脳への刺激と集中力アップ
噛む動作は脳にも良い刺激を与えます。噛むことで顎と顔の筋肉が動き、それが血流や神経活動を活発化する要因になるといわれています。咀嚼による脳への刺激は、特に学習活動や集中力、記憶力にも関係していると言われています。特に子どもの成長期では、日常的なしっかり噛む習慣をつけておくと、次のような点でもプラスに働く可能性があります。
注意力が持続しやすくなる
学習時の集中力が高まる
発音が明瞭になる
セロトニンが活性化し、情緒の安定につながる
日々の食事で噛む回数を意識することが、子どもの学習や行動面にも良い影響を与える可能性があるのです。
奥歯と前歯で脳への刺激部分が異なる
| 噛む部位 | 噛む力と脳の働き | 噛む力によるコントロール |
|---|---|---|
| 奥歯で噛む | 噛む力が強いほど、体を動かす指令を出す脳の部分が働く | 強く噛むほど力強く噛むモードが高まる |
| 前歯で噛む | 噛む力が強いほど、力を細かく調整する脳の部分の働きが弱くなる | 弱めに噛むほど繊細なコントロールが働きやすい |
奥歯で噛む
強く噛むほど、脳は力強く噛むモードになりやすい
前歯で噛む
弱めに噛むほど、脳は繊細に力を調整するモードになりやすい
3.味覚の発達と食への興味を育てる
食材を噛めば噛むほど、食べ物の味がよく感じられます。味覚は単に味を感じる能力のみでなく、食材の多様性や食文化への興味とも深く関わっています。しっかり噛んで食べることで、子どもはさまざまな味や食感を学び、食への好奇心を育てることができます。
味覚の発達は乳幼児期から小学生くらいまでに大きく形成されるともいわれているため、この時期の食体験は大切です。噛む習慣をつけることは、健康だけでなく食の楽しさを育むことにもつながります。
身体全体への影響
噛む力は口周りだけでなく、身体全体の健康と関係があります。しっかり噛むことでセロトニンの分泌が促されると、満足感やストレス緩和にもつながるといわれており、食事の質にも良い効果があります。また、スポーツや日常生活で力を発揮するときに、しっかり噛む習慣があることで、安定した姿勢や力の発揮につながることも報告されています。これは噛み合わせが良くなることで身体全体のバランスが整いやすくなるためです。
日常でできるしっかり噛む習慣のコツ
しっかり噛む習慣を身につけるためのポイントは、次のような工夫をしましょう。
- 食材の噛みごたえを意識する
- 1口につき30回を目安に噛むことを促す
- テレビを見ながら、スマホを触りながらのながら食べを避ける
- 食卓で親自身がゆっくり噛む姿を見せる
子どもの姿勢や椅子やテーブルの高さにも気を配ることで、自然と噛む動作がしやすくなることもあります。食事を楽しみながら、噛む回数やタイミングを親子で共有することも大切です。
噛む力を育てる食べ物やおやつ
噛む力を鍛えるために大切なのは、ただ硬いものを食べさせることではありません。子どもが無理なく食べられて、自然と噛む回数が増える食材やおやつを選ぶのがポイントです。ここでは、噛む力の発達をサポートするおすすめの食品を紹介します。
自然と噛む回数が増えるおすすめの食べ物
- にんじんや大根などの野菜スティック
- ブロッコリー
- 薄切りのりんご
- タコやイカ
- 肉類など
硬すぎる食べ物は注意が必要で、あまりにも噛みにくいと、子どもが十分に噛まないまま飲み込んでしまうことがあります。硬すぎず、やわらかすぎない食べ物を選ぶのがおすすめです。ほどよい噛みごたえがあると噛む回数が自然に増え、顎や口まわりの筋肉をバランスよく使えるようになります。その結果、顎の筋肉が育ち、噛む力も少しずつ身についていきます。
噛む力が育つおすすめのおやつ
- グミ、ガム
- せんべい
- フルーツ類
- ナッツ類
- 団子
- するめ、干し芋
- 枝豆、とうもろこし
おやつの時間も、噛む力を伸ばす良い機会になります。ほどよい硬さのあるおやつを選ぶと、楽しみながらしっかり噛む習慣がつきやすくなります。注意点としては、できるだけ砂糖や塩分が多すぎないものを選ぶこと、そして食べる時間や量を決めてだらだら食べにならないようにすることが大切です。
まとめ

子供がしっかり噛むというシンプルな行動は、口腔の健康だけでなく、顎や歯の発育、消化機能、脳の活動、味覚の発達、さらには身体全体のバランスにまで影響を及ぼします。日常の食事の中で、噛むことを意識した習慣づくりを行うことは、子どもの健やかな成長を支える大きな一歩です。親がまず噛むことの大切さを理解し、食卓で実践しながら楽しく取り組むことで、子ども自身が自然と噛む習慣を身につけられるようになります。

