矯正歯科

矯正歯科と一般歯科の違いって?

矯正歯科と一般歯科の違いって?

矯正歯科と一般歯科では、同じ歯科治療でも分野が異なります。悪い歯並び(不正咬合)を矯正するのが矯正歯科で、虫歯や歯周病などの病気を治療するのが一般歯科です。矯正歯科と一般歯科の違いについてご説明します。

矯正歯科と一般歯科の違いとは?

矯正歯科と一般歯科の違いを簡単にご説明します。

矯正歯科

矯正歯科は歯並びや噛み合わせを整える診療科目で、病気の治療のように健康が損なわれたから行う治療ではないため、保険適用にはなりません。そのため高額な費用がかかります。

先天的な疾患などが原因の場合は、保険適用内で行える歯列矯正もありますが、その場合は大学病院で治療を行います。矯正歯科の治療では、歯並び、見た目、噛み合わせを改善するのが目的です。大人の矯正器具では下記の治療法があります。

  • ワイヤー矯正・・歯の表面にブラケットという突起をつけてその中にワイヤーを通して歯列を動かす矯正治療法
  • 裏側矯正・・ブラケットとワイヤーを歯の裏側につける矯正治療法
  • マウスピース矯正・・歯の上からマウスピースを装着して歯列を動かす矯正治療法

一般歯科

一般歯科は主に虫歯や歯周病などの病気の治療を行います。虫歯の場合は、虫歯に感染している部分を削り取り、詰め物や被せ物を行います。歯周病の場合は歯茎の腫れや歯周ポケットの深さなどを確認し、歯垢や歯石を除去してメンテンナンスを行います。

矯正歯科を選ぶ際のポイント

矯正を行う医院は多くあるため、どのような違いがあるのか、選択が難しいという方もおられます。歯列矯正を考えておられるならば、まずは、お近くの気になった医院の情報を収集しましょう。

  • 豊富な症例数がある医院か
  • 通院を続けられそうな場所にあるか
  • 矯正器具は様々な種類があるか
  • 料金は相場の範囲内であるか
  • 支払い方法にはどのような選択肢があるか

自由診療制なので、治療方針も料金も医院ごとによって異なります。安くはない矯正費用ですので、医院の違いを知り、どこで行うか見極めましょう。

矯正治療を受ける医院はどうやって選ぶ?

先ほど収集した情報以外に、医院や担当医、スタッフの雰囲気を知ることが大切です。ただし、こればかりは、サイト上で判断することが難しいです。

矯正歯科のカウンセリングへ行く

多くの矯正歯科は予約制で歯並びのお悩みを伺うカウンセリング(相談)時間を設けています。

  1. 歯で困っていることをスタッフや歯科医師へ相談する
  2. お悩みを伺った歯科医師がお口の状態を確認する
  3. 診断した患者さんにおすすめの治療方法を提案し説明する

たとえ、豊富な実績がある歯科医師でも、信頼関係が重要です。担当医やスタッフに質問しやすく、説明を求めた場合に答えをしっかりと返してくれるクリニックを選びましょう。

矯正歯科でも様々な種類がある

矯正歯科にも様々な医院があります。

  • 矯正歯科のみ専門的に行う医院
  • 矯正歯科医が常駐し矯正歯科以外の診療科目もある医院
  • 矯正歯科医が月に何度か診療を行う医院

歯列矯正中に虫歯や歯周病にかかった場合、総合的な医院ではそのまま受診できますが、矯正の専門医院だと他のクリニックを紹介して再度受診してもらう必要があります。逆に、矯正歯科がたまにしか来られない医院だと、矯正器具が外れたなどのトラブルが起きた際に、お日にちを頂かないといけません。

矯正治療のみの専門医院へかかると、抜歯が必要な歯並びの場合、口腔外科の治療が可能な歯科医院を紹介する場合があります。歯並びの専門が矯正歯科、歯を抜く処置の専門が口腔外科のため、そのような案内になります。

まとめ


細菌感染により健康が損なわれていることへの治療を行う一般歯科、見た目の歯並びや噛み合わせを良くする治療を行う矯正歯科など、それぞれ治療に違いがあります。目的に合った診療を効果的に行うためにも、歯科医院の違いを理解しておきましょう。

矯正歯科と一般歯科の違いに関して、以下の2つの研究からの知見が参考になります。

1. 矯正歯科と一般歯科の知識と態度の比較研究
矯正歯科と一般歯科の専門家に対して行われた調査では、矯正治療の原則と実践に対する一般歯科医の知識と態度を比較し、矯正歯科と一般歯科の専門家間での知識と態度に顕著な差異があることが示されました。この研究は、一般歯科医が矯正治療に関するより臨床的な教育と概念を必要としていることを示唆しています。【Sastri et al., 2015

2. 異なる歯科分野での作業手順の人間工学的リスクの比較
一般歯科、歯内療法、口腔顎顔面外科、矯正歯科の各分野の歯科医師と歯科助手を対象にした研究では、これらの専門分野での作業に関連する人間工学的リスクが比較されました。この研究では、特に矯正歯科での作業が一般歯科に比べて歯科医師にとって人間工学的リスクが著しく低減されていることが明らかになりました。【Holzgreve et al., 2022

これらの研究から、矯正歯科と一般歯科は、知識、態度、専門性の面で明確な違いがあることが分かります。矯正歯科は、特定の矯正治療に関する専門的な知識と技術を要し、一般歯科はより幅広い歯科治療に対応する一方で、矯正治療に関する知識や態度においては矯正歯科医に比べて差があることが示唆されています。また、作業環境や人間工学的側面でも、これらの分野間で差が存在することが明らかになっています。