矯正歯科

子供の矯正装置の種類と特徴を教えて

子供の矯正装置の種類と特徴を教えて

子供の矯正では顎を適切な大きさに成長させるためのサポートを行う必要があります。子供の顎を拡大するための装置として、拡大床、クワドヘリックス、急速拡大装置(ハイラックス)、マウスピース型のインビザラインファースト等が使用されています。それぞれについてご説明します。

子供の矯正装置の種類

子供の矯正

子供用の矯正装置は主に一期治療と呼ばれる乳歯と永久歯の生え変わりの時期の矯正治療に使用されます。主に以下のような種類があり、これらの装置を子供のお口の状態に合わせて選択することが大切です。

1. 拡大床

拡大床

床矯正(しょうきょうせい)とも呼ばれ、取り外しが可能な装置です。床(しょう)と呼ばれる歯ぐきを覆う形の装置をお口にはめて、少しずつあごを広げていきます。

床矯正は顎の成長を促しますので、その後、歯をきれいに並べる目的での矯正治療を行う場合に、殆どのケースで抜歯をする必要がなくなります。

拡大床は食事や歯磨きの時に外せますので便利な反面、顎の拡大に時間がかかります。

2. クワドヘリックス

小学校1年~2年生では拡大床を使う場合が多いのですが、3年生以降は歯の生え変わりで3番~5番の歯が揺れ始めるため、拡大床がしっかりと固定できなくなります。

そんな場合、クワドヘリックスなら奥歯側は6歳臼歯に装置を固定し、前方にも装置の固定に使える歯があれば、上顎を効率よく拡大することが出来ます。

クワドヘリックスは固定式の装置で、ずっとつけたままになる為、顎の拡大が確実に出来るというメリットがありますが、取り外しが出来ない為、食事や歯磨きに影響があります。

3. 急速拡大装置

急速拡大装置

固定式で子供の顎を拡大する力が強く、骨格が狭い子供に適しています。顔の形に影響を与える可能性があるため、担当医が注意深く観察しながらの使用が必要です。

急速拡大装置は上顎の正中口蓋縫合という、左右の上顎骨の口蓋突起の接合部を横に拡げます。正中口蓋縫合は10代前半までは完全に骨化しておらず、柔軟な状態になっているため、急速拡大装置を歯に固定して歯槽骨ごと歯列の幅を拡げることができます。

正中口蓋縫合を拡げると上顎が拡大して鼻腔が広がり空気の通りが良くなります。そのため口呼吸だった子供は鼻呼吸が簡単に行えるようになり、鼻炎アレルギーを起こしにくくなったり、風邪をひきにくくなることが期待できます。

4. インビザラインファースト

インビザライン

マウスピース型矯正装置インビザラインの子供用のラインナップ。透明なマウスピースを1週間程度で新しく交換して歯を動かして行くシステム。顎の拡大と同時に歯並びを整えることが出来ますが、他の装置よりも顎の拡大のスピードが遅いです。

5. プロ矯正

プロ矯正は、プレオルソ、マイオブレイス(T4K)と呼ばれる取り外し式のマウスピースを使用し、同時にアクティビティと呼ばれるお口周辺の筋肉のトレーニングを行います。

しっかりと舌や頬の筋肉を動かすことで顎やお口周りの組織を成長させ、機能面を整えます。

プレオルソ

プレオルソ

プレオルソのマウスピースは柔らかい素材で出来ており、お口の中での違和感が少ないのが特徴です。舌や頬の筋肉のバランスを整えて歯並びを改善します。

マイオブレイス

マイオブレイスは、矯正装置で歯を動かすのではなく、お口の中の筋肉を正しく使えるようにすることで、歯並びを改善する治療法です。毎日決められた種類と回数のアクティビティと呼ばれる簡単なお口の体操を併用します。

6. ムーシールド

ムーシールド

ムーシールドは子供の受け口を改善するための装置で、3歳頃からの早期治療が可能です。専用のマウスピースを就寝時につけることで、舌の位置を整えたり口腔周囲筋を強くしたりして、反対咬合(受け口)を改善します。

特に遺伝性の受け口の場合は早めに治療を開始することで、下顎の過成長を抑制することが出来ます。

子供の矯正装置の種類と特徴に関するQ&A

子供の矯正治療における拡大床の役割は何ですか?

拡大床は、子供の顎を適切な大きさに成長させるために使用される取り外し可能な装置です。顎を広げていくことで、後の矯正治療において抜歯が不要になる可能性がありますが、顎の拡大には時間がかかります。

クワドヘリックスとは何ですか?

クワドヘリックスは固定式の装置で、特に子供の上顎を効率よく拡大するために使用されます。6歳臼歯に装置を固定し、前方にも装置の固定が可能な場合に使用されることがあります。取り外しができないため、食事や歯磨きに影響がありますが、顎の拡大が確実にできるメリットがあります。

急速拡大装置の特徴と効果は何ですか?

急速拡大装置は、固定式で強力な顎拡大力を持ち、骨格が狭い子供に適しています。上顎の正中口蓋縫合を横に拡げ、顎を拡大することができます。上顎の拡大により鼻腔が広がり、空気の通りが良くなるため、鼻呼吸の改善や鼻炎アレルギーの軽減が期待できます。

まとめ

子供の矯正治療に使用される装置の種類についてご説明しました。各装置は子供の顎の成長と歯並びを整えるために設計されており、それぞれの特徴や適用される年齢、治療法が異なります。

拡大床、クワドヘリックス、急速拡大装置、インビザラインファースト、プロ矯正(プレオルソ、マイオブレイス)、ムーシールドなど、さまざまなタイプの矯正装置が利用され、それぞれの子供の口腔の状況や矯正の目的に合わせて選ばれます。

これらの装置は顎の成長を促進し、永久歯の歯並びの改善が期待できるほか、鼻呼吸を促し全体的な顔の成長にも影響を及ぼします。子供の矯正治療において適切な装置の選択は重要で、それぞれの装置が持つ特徴を理解することが、子供の矯正治療を成功させるための鍵となります。

子供の矯正治療に使用される装置の種類と特徴については、以下の論文から得られた情報を提供します。

1. Albaqami, Abreu, & Bernabé (2020) の研究では、イギリスの青少年を対象に固定式と取り外し可能な矯正装置の使用が食事の困難さや糖分の摂取に与える影響を調査しています。この研究は、固定式装置を使用している青少年は取り外し可能な装置を使用していない青少年に比べて食事の困難を報告する可能性が高いが、糖分摂取量には影響がないことを示しています。【Albaqami, Abreu, & Bernabé, 2020

2. Doroshenko, Zrazhevska, & Savonik (2021) による研究では、混合歯列期の子供たちにおける取り外し可能な義歯装置と非取り外し可能な義歯装置の使用による歯列欠損の治療効果を比較しています。この研究は、非取り外し可能な装置を使用する患者は口腔衛生の維持が困難であり、取り外し可能な装置を使用する患者は治療の予測可能性が低いことを示しています。【Doroshenko, Zrazhevska, & Savonik, 2021

これらの研究に基づくと、子供の矯正装置には固定式と取り外し可能なタイプがあり、それぞれに特徴があります。固定式装置はより食事の困難を引き起こす可能性があり、取り外し可能な装置はより柔軟性がありますが、治療の予測可能性が低いかもしれません。したがって、子供の矯正治療においては、それぞれの装置の特徴を理解し、患者のニーズに合った選択をすることが重要です。