子供の矯正装置の種類と特徴を教えて
子供の矯正装置には大きく分けて「拡大装置」「ワイヤー矯正」「マウスピース矯正」「機能的矯正装置」の4つがあり、それぞれ得意な歯並びや使用目的、必要とされる協力度が異なります。
この記事はこんな方に向いています
- 子供の歯並びが気になってきた親御さん
- どの矯正装置が自分の子に合うのか知りたい方
- 矯正を始めるタイミングに迷っている方
- 装置ごとのメリット・デメリットを分かりやすく知りたい方
この記事を読むとわかること
- 子供の矯正装置の種類と特徴
- どんな装置がどんな歯並びに向いているか
- メリット・デメリット、家庭の協力度との関係
- 矯正相談のタイミング
- 装置選びで失敗しないポイント
目次
子供の矯正装置にはどんな種類があるの?
子供の矯正装置は「見た目を整える」だけでなく、「成長を利用して骨格の問題を改善する」役割も持っています。代表的な装置は「拡大装置」「ワイヤー矯正」「マウスピース矯正」「機能的矯正装置」の4種類。それぞれ働き方が違うため、年齢や歯並びの状態、生活習慣などに合わせて選ぶことが重要です。
子供の矯正は4種類。特徴が違うので、お子さんに合った装置選びが必要です。
1. 拡大床(拡大装置)
床矯正(しょうきょうせい)とも呼ばれ、取り外しが可能な装置です。床(しょう)と呼ばれる歯ぐきを覆う形の装置をお口にはめて、少しずつあごを広げていきます。
床矯正は顎の成長を促しますので、その後、歯をきれいに並べる目的での矯正治療を行う場合に、殆どのケースで抜歯をする必要がなくなります。
拡大床は食事や歯磨きの時に外せますので便利な反面、顎の拡大に時間がかかります。
2. クワドヘリックス
小学校1年~2年生では拡大床を使う場合が多いのですが、3年生以降は歯の生え変わりで3番~5番の歯が揺れ始めるため、拡大床がしっかりと固定できなくなります。
そんな場合、クワドヘリックスなら奥歯側は6歳臼歯に装置を固定し、前方にも装置の固定に使える歯があれば、上顎を効率よく拡大することが出来ます。
クワドヘリックスは固定式の装置で、ずっとつけたままになる為、顎の拡大が確実に出来るというメリットがありますが、取り外しが出来ない為、食事や歯磨きに影響があります。
3. 急速拡大装置
固定式で子供の顎を拡大する力が強く、骨格が狭い子供に適しています。顔の形に影響を与える可能性があるため、担当医が注意深く観察しながらの使用が必要です。
急速拡大装置は上顎の正中口蓋縫合という、左右の上顎骨の口蓋突起の接合部を横に拡げます。正中口蓋縫合は10代前半までは完全に骨化しておらず、柔軟な状態になっているため、急速拡大装置を歯に固定して歯槽骨ごと歯列の幅を拡げることができます。
正中口蓋縫合を拡げると上顎が拡大して鼻腔が広がり空気の通りが良くなります。そのため口呼吸だった子供は鼻呼吸が簡単に行えるようになり、鼻炎アレルギーを起こしにくくなったり、風邪をひきにくくなることが期待できます。
4. インビザラインファースト
マウスピース型矯正装置インビザラインの子供用のラインナップ。透明なマウスピースを1週間程度で新しく交換して歯を動かして行くシステム。顎の拡大と同時に歯並びを整えることが出来ますが、他の装置よりも顎の拡大のスピードが遅いです。
5. プロ矯正
プロ矯正は、プレオルソ、マイオブレイス(T4K)と呼ばれる取り外し式のマウスピースを使用し、同時にアクティビティと呼ばれるお口周辺の筋肉のトレーニングを行います。
しっかりと舌や頬の筋肉を動かすことで顎やお口周りの組織を成長させ、機能面を整えます。
プレオルソ
プレオルソのマウスピースは柔らかい素材で出来ており、お口の中での違和感が少ないのが特徴です。舌や頬の筋肉のバランスを整えて歯並びを改善します。
マイオブレイス
マイオブレイスは、矯正装置で歯を動かすのではなく、お口の中の筋肉を正しく使えるようにすることで、歯並びを改善する治療法です。毎日決められた種類と回数のアクティビティと呼ばれる簡単なお口の体操を併用します。
6. ムーシールド
ムーシールドは子供の受け口を改善するための装置で、3歳頃からの早期治療が可能です。専用のマウスピースを就寝時につけることで、舌の位置を整えたり口腔周囲筋を強くしたりして、反対咬合(受け口)を改善します。
特に遺伝性の受け口の場合は早めに治療を開始することで、下顎の過成長を抑制することが出来ます。
拡大装置はどんな歯並びの子に向いているの?
拡大装置は、あごが小さくて歯が並ぶスペースが足りないお子さんに使われる矯正装置です。急速拡大装置・緩徐拡大装置・床矯正などの種類があり、成長期ならではの効果が期待できます。親御さんが回すタイプも多く、家庭の協力が必要です。
あごが小さい子に向いており、スペース不足に強い装置です。
拡大装置は、あごを広げて歯の並ぶ場所を増やすことを目的にした装置です。永久歯がきれいに生えるためのスペースを確保するため、小学生くらいの成長期に非常に効果的です。
代表的な拡大装置には以下があります。
- 床矯正(取り外し式)
- 急速拡大装置(固定式)
- 緩やかに広げる拡大装置(固定式)
メリット
- 成長を利用できるため歯を抜かずに治療しやすい
- 装置自体は比較的シンプル
- 歯並びの土台づくりとして効果が大きい
デメリット
- 調整は家庭で行う必要があることが多い
- 取り外し式は使わないと効果が出ない
- 慣れるまで話しにくさを感じる子もいる
あごが小さい、歯のスペースが足りない場合にはまず候補に上がる装置です。その結果、将来の抜歯リスクや大掛かりな矯正を避けられる場合があります。
ワイヤー矯正(ブラケット矯正)は子供に適しているの?
ワイヤー矯正は、歯を細かく移動させることが得意な装置です。拡大などの土台づくりが終わった後に使用されることも多く、細かい歯のねじれやズレにも精密に対応できます。固定式のため協力度に左右されにくい点が強みです。
固定式で確実に効果が出やすい、精密な矯正装置です。
ブラケット矯正は、歯の表面に小さな金具を付け、そこにワイヤーを通して歯を動かす方法です。大人にも使われる装置で、細かい歯の位置調整が得意です。
メリット
- 固定式のため付け忘れがない
- 精密な歯の微調整ができる
- 幅広い不正咬合に対応できる
デメリット
- 見た目が気になる子もいる
- 食べかすが残りやすく、丁寧な歯磨きが必要
- 痛みを感じやすい時期がある
見た目を気にする子には向かない場合もありますが、確実性の高い方法。子供の性格によっては最も安定した選択肢になることがあります。
マウスピース矯正は子供でもできる?向き不向きは?
透明で目立ちにくく、痛みが少ないマウスピース矯正は人気がありますが、使用時間を守らないと効果が出ません。真面目な子や管理が得意な子には向いていますが、付け忘れが多いタイプの子には難しい方法です。
「管理できる子」ならメリットが大きく、「管理が苦手な子」には不向きです。
マウスピース矯正は、透明で取り外しができるため、見た目の負担が非常に少ない方法です。しかし、1日22時間以上の使用が必要なことが多く、装着時間を守れないと効果が落ちます。
適している子
- コツコツ続けられる
- 装置を自己管理できる
- 見た目を気にする
難しい子
- 忘れ物が多い
- 装置を無くしやすい
- 装着時間を守れない
性格により成否が左右されやすい装置。メリットは大きいものの、「続けられるか」が最重要ポイントです。
機能的矯正装置(バイオネーター・プレオルソなど)は何を改善できるの?
機能的矯正装置は、筋肉の使い方やかみ合わせの癖を整えることで、歯並びに間接的にアプローチする装置です。出っ歯・受け口など骨格的な問題を改善しやすく、成長期の子供に大きな効果を発揮します。
骨格的な悩みを改善できる、成長期に強い装置です。
代表的な装置には以下があります。
- プレオルソ
- バイオネーター
- ムーシールド
- T4K
これらは歯を直接動かすのではなく、口周りの筋バランスを整えることで歯並びを安定させます。寝ている間の使用や数時間の装着など、比較的負担が少ないケースもあります。
メリット
- 歯並びの土台となる筋肉バランスを改善
- 骨格の成長を正しい方向に導きやすい
- 痛みが出にくい
デメリット
- 効果が出るまで時間がかかる
- 使った時間に比例して効果が変わる
- 万能ではない
骨格や癖による問題が気になる場合に非常に有効。将来の大掛かりな矯正を避ける助けになることがあります。
どの矯正装置を選ぶべき?装置選びで失敗しないためのポイントは?
装置選びは「歯並びの状態」「年齢」「家庭の協力度」「子供の性格」の4つを軸に判断します。とくに取り外し式は協力度が重要で、管理が苦手な子は固定式のほうが合っていることが多いです。
装置選びは、お子さんの性質と治療目的に合わせて判断する必要があります。
装置選びのポイント
- 改善したいのは骨格なのか歯並びなのか
- 家庭で装置を管理できるか
- お子さんが痛みに敏感か
- 見た目を気にするタイプか
- 学校生活との相性
「どれが一番良いか」ではなく、「どれがその子に合うか」が大切。親御さんが気に入った装置より、子供が無理なく続けられる装置のほうが確実に結果につながります。
子供の矯正はいつ相談すればいいの?
相談のタイミングは「気になったとき」で構いません。小児矯正は6〜7歳ごろに一度相談することで、将来の矯正が必要かどうか、早期に判断できます。早めの相談は治療期間や費用の軽減にもつながることがあります。
6〜7歳で一度相談するのがおすすめです。
子供の矯正は開始年齢に幅がありますが、最初の相談は小学校低学年で一度済ませておくと安心です。早めに状況が分かれば、以下のようなメリットがあります。
- 子供の成長を利用して治せる
- 大掛かりな矯正を避けられることがある
- 口呼吸など、悪習癖を早期に改善できる
- 必要なら装置の開始タイミングを見計らえる
早い段階で状況を知っておくと、将来の選択肢を増やせます。
迷っているなら一度歯科医院に相談するのが賢明です。
子供の矯正装置の種類と特徴に関するQ&A
拡大床は、子供の顎を適切な大きさに成長させるために使用される取り外し可能な装置です。顎を広げていくことで、後の矯正治療において抜歯が不要になる可能性がありますが、顎の拡大には時間がかかります。
クワドヘリックスは固定式の装置で、特に子供の上顎を効率よく拡大するために使用されます。6歳臼歯に装置を固定し、前方にも装置の固定が可能な場合に使用されることがあります。取り外しができないため、食事や歯磨きに影響がありますが、顎の拡大が確実にできるメリットがあります。
急速拡大装置は、固定式で強力な顎拡大力を持ち、骨格が狭い子供に適しています。上顎の正中口蓋縫合を横に拡げ、顎を拡大することができます。上顎の拡大により鼻腔が広がり、空気の通りが良くなるため、鼻呼吸の改善や鼻炎アレルギーの軽減が期待できます。
まとめ
子供の矯正装置には多くの種類がありますが、どれも万能ではありません。逆にいえば、どんな子にも合う装置は存在しないということです。
大切なのは、
- 子供の歯並びの状態
- 年齢・成長の段階
- 性格や生活リズム
- 家庭での協力度
これらを総合的に判断して、「無理なく続けられる装置」を選ぶこと。そして早めに相談すれば、選べる道がぐっと広がります。
