被せ物の横をフロスが通らない状態になると、歯や歯肉が虫歯や歯周病などの細菌感染を起こすリスクがあります。被せ物でフロスが通らない原因や対処法について詳しくご紹介いたします。
被せ物にフロスが通らない原因
口腔状態を良くするためにはフロスの使用が欠かせませんが、被せ物をした歯と歯の間で急にフロスが通らない原因は、下記の通りです。
- 被せ物と歯の間に虫歯が出来た
- 被せ物が歯と合わない
- 歯石が溜まってしまっている
被せ物と歯の間に虫歯が出来た
清掃しにくい部分に虫歯が出来るケースはよくあります。歯と歯の間や、歯と歯肉の溝は歯ブラシの毛先が届きにくいため、歯垢が溜まりやすいスポットです。虫歯が出来ると歯の表面はざらざらしてフロスが通らないことがあります。
被せ物が歯と合わない
- 歯と被せ物の間に隙間が空く
- 素材とセメントの経年劣化により歯と被せ物の間に段差が生じる
正確にフィットしない被せ物は隙間や段差が原因でフロスが挟まりやすくなります。わずかな部分から虫歯菌が侵入すると、被せ物の下で再度虫歯になってしまう二次虫歯という状態になります。
歯石が溜まってしまっている
被せ物と歯の間に歯石が溜まってしまうとフロスは通りません。歯石は歯磨きなどのセルフケアで除去できないため、歯科医院で歯科衛生士にクリーニングを行ってもらい、除去する必要があります。
フロスの形状は何が違う?
フロスには二つの形状があります。
- ホルダータイプ
- ロールタイプ
ホルダータイプ
ホルダータイプのフロスは、持ち手があるY字やF字の形状です。ホルダー(持ち手)により、小さな子供や高齢の方にも使用しやすいのが特徴です。ホルダーを掴み、フロスのついた部分を歯間へ挿入し、汚れを除去します。
ロールタイプ
卵型のような糸巻きタイプで、フロスの長さを自らカットして歯に通します。指の間に約10cmのフロスを保持して、ゆっくりと歯間に挿入します。歯と歯の間や被せ物の周りでフロスを動かし、プラークを取り除きます。両手の指を使用する方法で行うため、慣れるまで時間がかかりますが、慣れれば奥歯でも使用しやすいです。
ワックス付きとワックス無しのフロスどう選ぶ?
フロスにはワックス付きとワックス無しのタイプがあります。どちらを選べばよいか悩まれる方のために特徴をご説明します。
ワックス付きフロス
ワックス付きのフロスは滑りが良いです。歯と歯の間が狭い方は、ワックス付きのフロスを使用しましょう。狭い部分でもワックスによりフロスが通りやすいためです。
ワックス無しフロス
ワックスがないため、歯と歯の間へ滑らしにくいです。ただ、ワックス無しのフロスは歯垢を除去しやすいという場合もあります。
フロスは歯と歯の間、歯と被せ物の間を優しく滑らせるように使う必要があります。フロスの入れ方が適切でなければ、フロスが歯肉を傷つけてしまいます。
被せ物のフロスが通らないときの対処法
被せ物の横をフロスが通らないと、その部分の歯垢や汚れは付着したままの状態です。
1.なるべく早く歯科医院でクリーニングをする
なるべく早く歯科医院へ連絡して通院し、クリーニングを受診しましょう。クリーニングの方法は医院によって異なりますが、当院では痛みがないエアフローという器械を導入しています。ジェット水流で微粒子のパウダーを歯の表面に吹き付け、歯垢や歯石、汚れを取り除き、つるつるとした歯の表面になります。
2.日常的なオーラルケアを改善する
食後に適切なブラッシングを行いましょう。歯と歯ぐきの境目を優しく丁寧にブラッシングすることが重要です。また、就寝前の歯磨きには、歯間ブラシやタフトブラシ、デンタルフロスを使用して、歯石のつきにくい衛生的な口腔状態を維持しましょう。
3.定期検診へ行く
定期的に歯科医院へ通院して歯の健康状態をチェックしてもらったり、クリーニングを行うことはとても大切です。被せ物の状態や他の歯や歯肉を予防的に確認してもらい、必要があれば調整や再装着を行うと最小限の処置で歯を健康に保つことができます。被せ物をしている歯は神経(歯髄)の治療をしたケースが多く、二次虫歯になっても痛みを感じないため、歯を失ってしまうリスクにつながります。
まとめ
被せ物にフロスが通らないという問題は、適切なケア方法と定期的な歯科診察によって大きく改善することが可能です。フロスが通らない原因を対処して日常生活で予防をすることは、健康な口腔環境を維持するために非常に重要です。美しい笑顔と健康な口腔のために、正しいオーラルケアを心がけましょう。