八重歯は歯磨きしにくい?虫歯・歯周病リスクを解説
八重歯とは犬歯が本来の歯列からずれて生え、ほかの歯と重なっている状態を指します。笑ったときに八重歯が目立つと、「口元の印象が気になる」「できればきれいな歯並びに整えたい」と感じている方もおられるでしょう。
八重歯は見た目の問題のみでなく、歯磨きがしにくくなることから、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、矯正治療によって歯並びを整えることは、見た目の改善だけでなく、お口の健康を守るうえでも大切です。どのような方法で治療するのか、治療の際に抜歯が必要になるケースなど、この記事では、八重歯の主な治療法や抜歯の必要性、治療を検討する際のポイントについてわかりやすく解説します。
目次
八重歯はなぜ歯磨きしにくいのか
八重歯は、犬歯が本来の歯列から外側へずれて生えている状態です。見た目の印象として日本ではチャームポイントと捉えられることがありますが、歯磨きのしやすさという視点から見ると、歯と歯の重なりや、歯列からの飛び出しがあることから、歯ブラシの毛先が入り込みにくく均等に当たりにくくなります。
汚れや磨き残しが起こりやすい位置は、八重歯そのものの表面ではなく、歯や歯肉との境界部分です。歯磨きをしていないとわけではなく、磨いているつもりでも届いていない部分があります。毎日きちんと歯磨きをしていても、歯並びの凹凸が大きいとどうしても汚れが残ります。
八重歯で虫歯リスクが高まる理由
虫歯は、歯の表面に付着したプラークの中にいる細菌が、食べかすの糖をもとに酸を作り、歯を溶かして進行します。八重歯の周囲は汚れが残りやすく、プラークが長時間とどまりやすい環境ですが、虫歯ができやすい場所をピンポイントに挙げましょう。
- 八重歯と隣の歯が重なっている部分
- 八重歯の裏側
- 歯ぐきとの境目
- 歯ブラシの毛先が届かない狭いすき間
- 食べかすが引っかかりやすい段差部分
歯の形や位置の関係でブラシの角度調整が難しく、正面から歯ブラシを当てるだけでは、八重歯の側面や裏側に十分届いていなません。そのため、見える部分はきれいでも、隠れた部分に虫歯ができるため、八重歯がある方は虫歯に注意しましょう。
乾燥にも要注意
八重歯で唇が閉じにくい場合、口の中が乾燥します。口腔内の乾燥は細菌が増殖しやすい環境になり、口呼吸の癖がついてしまうと、成長期の子供は顎の発達に悪影響を及ぼします。
八重歯と歯周病の関係
八重歯は虫歯だけでなく、歯周病のリスクにも関係します。歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまったプラークが原因となり、歯ぐきの炎症や出血、歯を支える骨の吸収などを引き起こします。八重歯の周囲では、歯ぐきのラインが不揃いになりやすいため、歯ブラシを細かく動かしても毛先が入りにくい部分が生じます。
八重歯の方は、通常の歯並びの人よりも歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目を意識して磨く必要があります。歯ぐきが赤い、腫れている、歯磨きのたびに出血する、口臭が気になるといった症状があれば、早めに歯科医院を受診し確認してもらいましょう。
八重歯による口臭・着色・歯ぐきトラブル
八重歯の周囲に汚れが残ると、虫歯や歯周病以外に、口臭や着色の原因となります。食べかすやプラークが長く残ると、細菌が増え、においの原因物質が発生しやすいです。コーヒー、紅茶、緑茶、ワイン、カレーなど色の濃い飲食物をよく摂る人は、八重歯周辺の段差や重なり部分に着色が残りやすく、前歯の目立つ部分に着色があると、歯全体がくすんで見える原因にもなります。
八重歯が外側に飛び出している場合、その部分の歯ぐきが薄くなりやすく、強い力でゴシゴシ磨くと、歯ぐきが傷ついたり、歯ぐきが下がる可能性もあります。磨き残しを防ごうとして力を入れすぎると、かえって歯や歯ぐきに負担をかけてしまうため注意しましょう。八重歯のケアでは、強く磨くよりも角度を変えて細かく磨くことが大切です。
八重歯の歯磨きで意識したいポイント
八重歯がある人は、通常の横磨きだけでは不十分になりやすいため、歯ブラシの角度と動かし方を工夫しましょう。
歯ブラシを一方向から当てない
まず意識したいのは、歯ブラシを一方向からだけ当てないことです。八重歯の表面、左右の側面、歯ぐきとの境目、裏側に分けて、少しずつ角度を変えて磨きます。特に八重歯の後ろ側は見えにくく、鏡を見ながら毛先が当たっているか確認しましょう。
おすすめの磨き方
おすすめの磨き方を挙げます。
- 歯ブラシは小さめのヘッドを選ぶ
- 八重歯の表側は毛先を斜めに当てる
- 隣の歯との境目は縦磨きを取り入れる
- 歯ぐきの境目は軽い力で小刻みに動かす
- 八重歯の裏側はタフトブラシを使う
歯ブラシを握る力
歯ブラシの力は、毛先が広がらない程度が目安です。力を入れすぎると、毛先が歯面にうまく当たらず、かえって汚れが落ちにくくなり、歯ぐきを傷つける原因にもなります。八重歯が歯磨きしにくいと感じている人は、歯磨きの時間を長くするだけでなく、磨く道具と角度を変えることが重要です。
歯ブラシ以外に使いたい清掃アイテム
歯ブラシのみでは届きにくい部分には、補助清掃用具を組み合わせましょう。
| アイテム | 特徴 | どこで使う | 注意点 |
|---|---|---|---|
| タフトブラシ | 毛束が小さくまとまった山のような形状の部分磨き用ブラシ | 八重歯の裏側、歯と歯の重なり部分、歯ぐきの境目、奥歯の溝など | 通常の歯ブラシでは届きにくい細かい部分に、毛先を軽く当てて使用 |
| デンタルフロス | 糸はワックス、ノンワックス、柄があるホルダータイプ、指で使うロールタイプなど種類がある | 歯と歯の間、歯と歯肉の間、八重歯と隣の歯が重なっている部分 | フロスが通しにくい場合は、無理に力を入れない。不安な方は歯科医院で使い方を習う |
| 歯間ブラシ | 歯と歯のすき間がある程度広い部分に使う小さなブラシ | 歯と歯のすき間、歯ぐきに近い部分 | 狭い部分に太い歯間ブラシを無理に入れると、歯ぐきを傷つける。サイズ選びは歯科衛生士に相談 |
歯ブラシは歯全体の表面磨き、タフトブラシは八重歯周辺の細かい部分を磨き、フロスは、接触部分を清掃し、歯間ブラシはすき間が広い部分の汚れを落とすようにします。定期クリーニングでは、自分で取れない歯石やバイオフィルムを除去してもらいましょう。歯磨きが苦手な場所ほど、毎日のセルフケアと歯科医院でのプロのケアを組み合わせることが大切です。
八重歯は矯正する?判断の目安
八重歯があるからといって、必ず矯正が必要ではありません。しかし、歯磨きがしにくい、虫歯や歯肉炎を繰り返す、口臭が気になる、見た目のコンプレックスがある、噛み合わせに違和感がある場合は、矯正相談を検討しましょう。
軽度かどうかは診断を受ける
軽度の歯並びの乱れであれば、部分矯正やマウスピース矯正が選択肢になりますが、八重歯の原因が顎の大きさ、歯の大きさ、奥歯の噛み合わせ、骨格的な問題にある場合は異なります。その場合は前歯や犬歯のみを動かしても根本的な改善にならないため、自己判断で軽く八重歯だから部分矯正と決めるのではなく、精密検査を受けて診断してもらうことが重要です。
治療費を浮かせようと、自分で歯を押して八重歯を治そうとするのは避けてください。歯を安全に動かすには、歯科医師の診断にもとづいて、適切な方向に弱い力を継続的にかけていきます。自己流で力を加えると、歯根や歯ぐきを傷つけてしまい、歯の寿命を縮めるリスクがあります。
よくある質問
八重歯の歯磨きに関するよくある質問をまとめました。
八重歯は普通の歯ブラシだけで磨けますか?
磨ける部分はありますが、八重歯の裏側や隣の歯との重なり部分は普通の歯ブラシだけでは届きにくいです。タフトブラシやフロスを併用するのがおすすめです。
八重歯があると必ず虫歯になりますか?
必ず虫歯になるわけではありませんが、磨き残しが起こりやすく、八重歯のない方に比べて虫歯リスクは高まりやすいです。毎日のケアを細やかに行い、定期検診を受けましょう。
歯ぐきから血が出るのは八重歯のせいですか?
八重歯の周囲にプラークが残り、歯ぐきに炎症が起きている可能性があります。ただし、原因は歯周病、磨きすぎ、全身状態など複数考えられるため、歯科医院で確認しましょう。
八重歯は矯正しないと治りませんか?
歯並びそのものを改善するには、基本的に矯正治療が必要です。歯磨きの工夫で虫歯や歯周病のリスクを下げることはできますが、歯の位置そのものをセルフケアで変えることはできません。
八重歯の矯正は大人でもできますか?
大人でも矯正治療が可能な場合は多くあります。ただし、歯ぐきや骨の状態、虫歯・歯周病の有無によって治療計画は変わるため、まずは検査と診断を受けることが大切です。
まとめ

八重歯は、歯並びに凹凸があるため歯磨きしにくく、虫歯、歯周病、口臭、着色などのリスクが高まりやすい歯並びです。特に、八重歯の裏側、隣の歯との重なり、歯ぐきとの境目は磨き残しが起こりやすい場所です。歯磨きのしにくい状態が続くと、毎日のセルフケアを頑張っていても汚れが残り、将来的なトラブルにつながる可能性があります。八重歯がある人は、小さめの歯ブラシで角度を変えて磨き、タフトブラシやフロスを併用し、定期的に歯科医院でクリーニングとチェックを受けましょう。
八重歯が歯磨きしにくい、同じ場所に汚れが残る、虫歯や歯ぐきの腫れを繰り返すと感じる場合は、セルフケアだけで抱え込まず、歯科医院で相談することが大切です。八重歯の状態に合わせた磨き方を知れば、虫歯や歯周病を予防しやすくなり、必要に応じて矯正治療を検討することで、見た目だけでなく清掃性や口腔内の機能性の改善、健康維持にもつながります。

