歯と口のトラブル

歯がしみるのは知覚過敏?その原因と対策をやさしく解説

歯がしみるのは知覚過敏?その原因と対策をやさしく解説

「冷たい飲み物が歯にしみる…これって虫歯?それとも知覚過敏?」そんなお悩みを持つ患者さんは少なくありません。

この記事では、「歯がしみる知覚過敏の原因とは?」という疑問に対して、原因やメカニズム、日常生活で注意すべきポイントを歯科医の視点からやさしくご紹介します。

この記事はこんな方におすすめ

  • 冷たいものや甘いもので歯がキーンとしみる
  • 虫歯はないのに違和感がある
  • 知覚過敏と診断されたが原因がわからない

この記事を読むとわかること

  1. 知覚過敏が起こるメカニズム
  2. 主な原因と予防のポイント
  3. どんな時に歯科を受診すべきか

知覚過敏の原因は「象牙質の露出」から始まります

知覚過敏の原因は「象牙質の露出」から

知覚過敏の主な原因は、歯の内側にある「象牙質」が外に露出してしまうことです。この象牙質には細い管が無数にあり、刺激が神経に伝わることで「しみる」感覚が起こります。

象牙質が露出することで、冷たい・甘いなどの刺激が神経に伝わりやすくなります。

「知覚過敏の痛み」はどんな刺激で起こる?感覚の違いを知っておこう

知覚過敏の症状は「ただしみる」だけではなく、刺激の種類によって感じ方に違いがあります。自分の症状の特徴を把握することで、歯科医院での診断がスムーズになります。

冷たいだけでなく、甘い・酸っぱい・風でもしみることがあります。

知覚過敏を引き起こす主な刺激

  1. 冷たいもの(氷水・アイスなど)
    →最も多い症例。急激な温度変化で神経に刺激が伝わります。
  2. 熱い飲み物(コーヒー・スープなど)
    →温かいものでもしみる場合、神経が敏感になっているサイン。
  3. 甘いもの・酸っぱいもの
    →食べ物中の成分が象牙質内の管に影響し、神経に刺激を与える。
  4. 歯磨き時や風が当たったとき
    →外からの軽い接触や空気の流れでも痛みを感じることがあります。

これらの症状を記録しておくと、歯科医院での問診時にとても役立ちます。たとえば「冷たいものでしかしみない」のか「何もしてなくても痛い」のかで、知覚過敏なのか、神経の炎症なのか判断が変わってくるからです。

なぜ象牙質が露出してしまうのか?代表的な要因とは

象牙質が露出する原因はさまざまですが、代表的な要因には「エナメル質の摩耗」や「歯ぐきの退縮」などがあります。これらは加齢や誤ったケアによって起こりやすくなります。

エナメル質が削れることや、歯ぐきが下がることで象牙質が見えてしまいます。

象牙質が露出する主な原因

  1. 過度な歯磨き圧:強すぎる歯磨きでエナメル質がすり減ってしまう
  2. 酸蝕歯:酸性の飲食物によりエナメル質が溶ける
  3. 歯ぎしり・食いしばり:歯の摩耗を加速させる
  4. 歯周病による歯ぐきの後退:歯の根元が露出する

これらの要因が重なることで、象牙質がむき出しになり、しみやすくなってしまいます。

知覚過敏を引き起こしやすい生活習慣とは

日常生活の中にも知覚過敏のリスクを高める行動があります。早めに気づいて見直すことが大切です。

強い歯磨きや酸性飲料のとりすぎは要注意です。

知覚過敏を悪化させる習慣

  1. 研磨剤入り歯磨き粉を多用している
  2. 1日に何度も歯磨きをしている(やりすぎ)
  3. 柑橘類や炭酸飲料をよくとる
  4. ストレスによる歯ぎしり

少しの心がけで防げることも多いため、気になる習慣がある方は見直しをおすすめします。

間違ったセルフケアが知覚過敏を悪化させてしまうことも…

「念入りに磨く」「清涼感のある歯磨き粉を使う」など、良かれと思ってやっているケアが、実は知覚過敏を悪化させてしまっているケースもあります。

歯を大切にしているつもりが、逆効果になることもあるので注意!

ありがちなNGセルフケア

  1. 硬い歯ブラシでゴシゴシ磨く
    →エナメル質を削ってしまい、象牙質が露出しやすくなります。
  2. 強いミント系の歯磨き粉を使いすぎる
    →刺激が強すぎて、神経が敏感になる可能性があります。
  3. 「ホワイトニング歯磨き粉」を頻繁に使用
    →研磨剤が多く、知覚過敏のリスクを高めることがあります。

これらを避けるだけでも、知覚過敏の悪化を防げます。
特に「自分に合った歯磨き粉を選ぶこと」はとても大切です。

虫歯や歯周病との違いを見分けよう

知覚過敏と虫歯・歯周病の初期症状は似ており、自分では判断が難しいことがあります。それぞれの特徴を理解しておくことで、適切な対処につながります。

似ているけれど治療方法は異なるため、見分けが大切です。

症状の種類 特徴 考えられる原因
知覚過敏 一時的にキーンとしみる 象牙質の露出
虫歯 持続的な痛みや黒ずみ 歯垢による細菌感染
歯周病 歯ぐきの腫れや出血 歯垢の蓄積による炎症

「しみる=知覚過敏」と決めつけず、自己判断せずに歯科医院での健診を受けることが大切です。

歯科医院での治療とセルフケアの方法

知覚過敏の治療は、症状に応じて歯科医院での処置と家庭でのケアを組み合わせることが重要です。放置せずに正しい対処を行えば改善が期待できます。

治療とセルフケアの両方で対応しましょう。

歯科医院での治療法

知覚過敏抑制剤の塗布:象牙質の表面を保護して刺激を遮断

  • レジン充填 → 露出した部分を補う処置
  • 被せ物による保護 → 深刻なケースでは被せ物で補強することも

セルフケアのポイント

  1. やわらかめの歯ブラシを使う
  2. 歯磨き粉は知覚過敏用を選ぶ
  3. 酸性の食品をとった後はうがいを心がける

歯科医院と連携しながら、継続的なケアを行いましょう。

知覚過敏専用の歯磨き粉って本当に効果あるの?選び方と使い方のコツ

市販の知覚過敏用歯磨き粉には、神経の過敏な反応を抑える成分が含まれています。ただし、使い方を間違えると効果が出にくいこともあるので注意が必要です。

継続して正しく使えば効果が期待できます。

主な有効成分とその働き

  • 硝酸カリウム → 神経の伝達をブロックし、刺激を感じにくくする
  • 乳酸アルミニウム → 象牙細管を塞いで刺激の侵入を防ぐ
  • フッ素 → 再石灰化を促進し、エナメル質を強化する

効果的な使い方のポイント

  1. 1回の歯磨きで1分以上かけて丁寧に磨く
  2. 口をゆすぎすぎない(成分を口に残すため)
  3. 最低でも2週間以上は継続して使用する

「買ってすぐに効果が出ないから」と使うのをやめてしまうのはもったいない!
根気よく使い続けることが改善への近道です。

知覚過敏が慢性化するとどうなる?放置のリスク

軽い痛みだからと放っておくと、症状が悪化して日常生活に支障をきたすこともあります。歯の神経にまで影響が及ぶと、神経を取る治療(根管治療)が必要になるケースも。

早めの対処が大切。放置は大がかりな治療につながる可能性も。

放置によるリスク

  1. 食事がつらくなり、偏食や栄養不足につながる
  2. 歯磨きがしづらくなり、虫歯や歯周病のリスクが上がる
  3. 歯の神経が炎症を起こし、抜髄処置が必要になることもある

「しみるけどガマンできるからいいや」と放置してしまうと、将来的にもっと複雑で高額な治療が必要になるかもしれません。違和感を感じたら、できるだけ早く歯科医院へ相談することが、結果的には一番ラクで安心な選択になります。

知覚過敏のサインを見逃さないようにしよう

「冷たいものがしみる」「歯磨きのときにチクッと感じる」などの軽い症状も、知覚過敏の始まりかもしれません。早めの対処が歯の健康を守るカギです。

違和感に気づいたら、すぐに相談しましょう。

症状が軽いうちに対処すれば、歯を削ったりするような大がかりな治療を避けられる可能性が高くなります。違和感を感じたら、放置せず歯科医院に相談してみてください。

まとめ

知覚過敏は「よくあるけど軽く見てはいけない」歯のトラブルです。

しみる感覚が気になったら、それは「歯が助けを求めているサイン」かもしれません。
早めの対策と正しいセルフケアで、毎日の食事や歯磨きを快適に過ごしましょう!