歯周病は自宅でのセルフケアだけでも治せますか?

クローバー歯科クリニック豊中駅前院 歯科医師 松本 康裕

歯周病は自宅のセルフケアだけでも治せますか?

歯ぐきだけに炎症が起きている初期の「歯肉炎」であれば、歯磨きやデンタルフロス、歯間ブラシを使って歯垢を丁寧に取り除くことで、改善する可能性があります。

一方、炎症が歯を支える顎の骨にまで及んだ「歯周炎」は、自宅のセルフケアだけでは治療できません。歯の表面に硬く付着した歯石や、深い歯周ポケットの中にある汚れは、歯ブラシでは十分に除去できないためです。

歯周病治療は、歯科医院だけに任せればよいものでも、自宅の歯磨きだけで完結するものでもありません。

  1. 自宅では、毎日新しく付着する歯垢を減らす
  2. 歯科医院では、自分で除去できない歯石や深い部分の汚れに対応する
  3. 治療後は、定期的に状態を確認して再発を防ぐ

この3つを組み合わせることが大切です。

軽い歯肉炎はセルフケアで改善する可能性がありますが、歯石がある場合や歯周炎まで進行している場合は歯科治療が必要です。

この記事を読むとわかること

  1. セルフケアで改善できる歯周病の範囲
  2. 歯肉炎と歯周炎の違い
  3. 自宅で行う正しい歯周病ケア
  4. 歯周病用の歯磨き剤やうがい薬の役割
  5. 歯科医院で行う歯周病治療
  6. 早めに歯科医院を受診した方がよい症状
  7. 治療にかかる期間・通院回数・費用の考え方

「歯医者に行かず、自分で何とかしたい」と思う方もいるでしょう。しかし、歯周病は自覚症状だけでは進行度を判断しにくい病気です。自宅でできることと、歯科医院でしかできないことを分けて考えましょう。

 

目次

歯周病はセルフケアだけで治る?

歯周病はセルフケアだけでも治るの?の図解

歯周病は、進行段階によってセルフケアだけで改善できる可能性が異なります。

歯の周囲に歯垢が付着すると、歯垢の中にいる細菌の影響によって、歯ぐきに炎症が起こります。炎症が歯ぐきに限られている段階が歯肉炎です。歯肉炎であれば、原因となっている歯垢を丁寧に取り除くことで、赤みや腫れ、出血が改善することがあります。

しかし、歯肉炎を放置して炎症が深い部分へ広がると、歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットが深くなり、歯を支える組織や顎の骨が壊されていきます。この状態が歯周炎です。

歯周炎になると、次のような理由からセルフケアだけでは対応できません。

  • 歯ブラシでは除去できない歯石が付着している
  • 歯周ポケットの深い部分に汚れが入り込んでいる
  • 顎の骨が減っている可能性がある
  • 歯の揺れや噛み合わせを確認する必要がある
  • 見た目や痛みだけでは進行度を判断できない

セルフケアは、歯周炎になった後も非常に重要です。ただし、セルフケアは歯科治療の代わりではなく、歯科治療の効果を高め、治療後の状態を維持するために行います。

歯肉炎はセルフケアで改善する場合がありますが、歯周炎は歯科医院での検査と治療が必要です。

歯周病の状態によって、自宅で対応できる範囲は異なります。以下は一つの目安ですが、正確な判断には歯周ポケットなどの検査が必要です。

お口の状態 セルフケアだけでの改善 歯科医院での対応
歯垢による軽い歯肉炎 改善する可能性がある 原因や磨き残しを確認するため健診が望ましい
歯石が付着している 歯石は除去できない 専用器具による歯石除去が必要
浅い歯周炎 セルフケアだけでは不十分 歯周基本治療とセルフケアを併用する
深い歯周ポケットがある 深い部分へ十分に届かない 歯の根の清掃や追加治療を検討する
歯が揺れている 対応できない 早めに検査し、原因に応じた治療を行う

出血が減ったからといって、歯周病が完全に治ったとは限りません。深い歯周ポケットや歯石が残っている可能性があるため、歯科医院で状態を確認することが大切です。

歯肉炎と歯周炎は何が違う?

歯肉炎と歯周炎は、どちらも歯周病に含まれますが、炎症が及んでいる範囲が異なります。

歯肉炎とは?

歯肉炎は、主に歯ぐきに炎症が起きている状態です。

歯磨きの際に血が出る、歯ぐきが赤く見える、少し腫れているといった症状がみられます。歯を支える顎の骨は、基本的には大きく破壊されていません。

原因となる歯垢を適切に除去できれば、健康な状態へ近づく可能性があります。

歯周炎とは?

歯周炎は、炎症が歯ぐきだけでなく、歯を支える歯根膜や顎の骨にまで及んだ状態です。

進行すると、歯周ポケットが深くなり、その中に歯垢や歯石がたまりやすくなります。さらに進行すると、歯ぐきが下がる、歯が長く見える、歯が揺れる、噛みにくいといった症状が現れることがあります。

一度失われた顎の骨や歯周組織は、通常の歯石除去や歯磨きだけですべて元どおりになるとは限りません。ただし、適切な治療によって炎症を抑え、歯周病の進行や再発を防ぐことは可能です。

歯肉炎は歯ぐきに限られた炎症、歯周炎は歯を支える組織にまで影響した状態です。

歯肉炎と歯周炎では、治療方法や予後が異なります。症状が軽く見えても、歯周炎まで進行していることがあるため注意が必要です。

比較項目 歯肉炎 歯周炎
炎症の範囲 主に歯ぐき 歯ぐき・歯根膜・顎の骨
主な症状 赤み、腫れ、歯磨き時の出血 出血、口臭、歯ぐき下がり、歯の揺れ
顎の骨への影響 基本的に大きな破壊はない 顎の骨が減ることがある
セルフケア 改善する可能性がある セルフケアだけでは不十分
主な対応 歯垢の除去と生活習慣の改善 検査、歯石除去、歯の根の清掃など

歯周病は痛みが少ないまま進行することがあります。「痛くないから歯肉炎だろう」と自己判断せず、歯周ポケットや顎の骨の状態を確認してもらいましょう。

歯周病を疑う症状には何がある?

歯周病の初期には、強い痛みが出ないことが多くあります。そのため、自覚症状がないまま進行することも珍しくありません。

次のような症状がある場合は、歯ぐきに炎症が起きている可能性があります。

歯磨きのときに血が出る

  • 歯ぐきからの出血は、炎症の代表的なサインです。
  • 歯ブラシやデンタルフロスが少し触れただけで出血する場合は、歯と歯ぐきの境目に歯垢が残っていないか確認しましょう。

歯ぐきが赤い・腫れている

  • 健康な歯ぐきは、一般に薄いピンク色で引き締まっています。
  • 炎症が起きると赤みが強くなり、丸みを帯びてぶよぶよした見た目になることがあります。

朝起きたときに口がねばつく

  • 就寝中は唾液が少なくなるため、誰でも多少のねばつきを感じることがあります。
  • ただし、ねばつきが強い、歯ぐきの出血や口臭もある場合は、歯周病や口の乾燥が関係している可能性があります。

口臭を指摘される

  • 歯周ポケット内に歯垢や歯石がたまり、細菌が増えると、口臭の原因になることがあります。
  • 口臭には舌の汚れ、虫歯、口の乾燥、全身疾患なども関係するため、歯周病だけが原因とは限りません。

歯ぐきが下がり、歯が長く見える

  • 歯周病や強すぎる歯磨きなどによって歯ぐきが下がると、以前より歯が長く見えることがあります。
  • 歯の根元が露出すると、冷たいものがしみやすくなる場合もあります。

歯が揺れる・噛みにくい

  • 歯を支える顎の骨が減ると、歯が揺れたり、食べ物を噛みにくくなったりすることがあります。
  • この段階では、セルフケアだけで様子を見ず、早めの受診が必要です。

出血、腫れ、口臭、ねばつき、歯ぐき下がり、歯の揺れは、歯周病でみられる症状です。

症状がない場合でも、歯周病ではないとは限りません。特に喫煙している方は、歯ぐきからの出血が目立ちにくいことがあるため、定期的な歯科健診が重要です。

自宅ではどのような歯周病のセルフケアをする?

歯周病のセルフケアで最も重要なのは、毎日付着する歯垢をできるだけ残さないことです。

薬用成分を含む歯磨き剤だけに頼るのではなく、歯ブラシや歯間清掃用具を使って、歯垢を物理的に取り除く必要があります。

歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨く

歯周病は、歯と歯ぐきの境目から始まりやすい病気です。

歯ブラシの毛先を境目に軽く当て、小刻みに動かします。強くこすると歯ぐきを傷つけることがあるため、毛先が大きく広がらない程度の力を意識しましょう。

デンタルフロスを使う

デンタルフロスは、歯と歯が接触している部分の歯垢を取り除くために使います。

歯と歯の間へゆっくり通し、それぞれの歯の側面に沿わせるように動かします。勢いよく歯ぐきへ押し込まないように注意してください。

歯間ブラシを使う

歯と歯の間が広い方や、歯ぐきが下がっている方には歯間ブラシが向いている場合があります。

サイズが大きすぎると歯ぐきを傷つけ、小さすぎると十分な清掃効果が得られないことがあります。歯科医院で適切なサイズを選んでもらうと安心です。

ワンタフトブラシを活用する

毛束が小さいワンタフトブラシは、奥歯の後ろ側、歯並びが重なった部分、被せ物の周囲などを集中的に磨くのに役立ちます。

通常の歯ブラシの代わりではなく、磨きにくい場所へ追加して使います。

歯ブラシを定期的に交換する

毛先が開いた歯ブラシは、歯垢を落とす力が低下します。

交換時期は使用状況によって異なりますが、毛先が広がった場合や、長期間使用している場合は新しいものへ交換しましょう。

喫煙を控える

喫煙は、歯周病の発症や進行、治療後の回復に影響する要因の一つです。

歯ぐきの血流にも影響するため、炎症があっても出血が目立たず、発見が遅れる可能性があります。

糖尿病などの全身状態を管理する

歯周病と糖尿病は相互に影響することがあります。

糖尿病の治療を受けている方は、主治医の指示に従って血糖を管理し、歯科医院にも病状や服用薬を伝えましょう。

歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯と歯ぐきの境目や歯間部の歯垢を取り除きます。

セルフケア用品には、それぞれ得意な場所があります。一つの道具だけですべての歯垢を落とそうとせず、必要に応じて使い分けましょう。

ケア用品 主な役割 向いている場所 注意点
歯ブラシ 歯の表面と歯ぐきの境目を清掃する お口全体 強く押しつけない
デンタルフロス 歯と歯の接触部分の歯垢を除去する 隙間が狭い歯間部 勢いよく歯ぐきへ入れない
歯間ブラシ 歯と歯ぐきの間を清掃する 隙間が広い歯間部 適切なサイズを選ぶ
ワンタフトブラシ 狭い部分を集中的に清掃する 奥歯、歯並びの重なり、被せ物の周囲 通常の歯ブラシと併用する
うがい薬 細菌への補助的な対策 お口全体 歯垢除去の代わりにはならない

歯磨きの回数が多くても、毎回同じ場所に歯垢が残っていれば、その部分の炎症は改善しにくくなります。回数だけでなく、炎症が起きている場所へ毛先が届いているかを意識しましょう。

歯周病の歯磨きはどのように行う?

歯周病の歯磨きでは、歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目に付着した歯垢を丁寧に落とすことが大切です。

ただし、歯ぐきの状態、歯並び、被せ物の有無などによって適した磨き方は異なります。以下は基本的な考え方です。

毛先を歯と歯ぐきの境目に当てる

歯ブラシの毛先が歯の中央だけに当たっていると、歯ぐきの近くに歯垢が残りやすくなります。

鏡を見ながら、境目へ毛先が当たっているか確認しましょう。

軽い力で小刻みに動かす

大きく横方向へこするよりも、1~2本ずつを目安に小刻みに動かします。

力が強すぎると、歯ぐきが傷ついたり、歯の根元がすり減ったりすることがあります。

磨く順番を決める

磨く場所を毎回変えると、同じ部分を磨き残しやすくなります。

例えば、

  • 右上の奥歯から左上の奥歯
  • 左下の奥歯から右下の奥歯
  • 歯の外側
  • 歯の内側
  • 噛む面

というように、自分なりの順番を決めると磨き残しを減らしやすくなります。

出血する部分も優しく清掃する

歯磨きのときに血が出ると、その場所を避けたくなるかもしれません。

しかし、炎症の原因となる歯垢が残っている場合は、やわらかめの歯ブラシを使って優しく清掃することが大切です。強く磨く必要はありません。

出血が長く続く、出血量が多い、腫れや痛みがある場合は、セルフケアだけで様子を見ずに受診してください。

歯と歯ぐきの境目へ毛先を当て、軽い力で小刻みに磨きます。出血する場所は避けず、優しく清掃しましょう。

歯磨き方法が正しいかどうかは、自分だけでは判断しにくいものです。歯科医院で磨き残しを確認してもらい、自分のお口に合う方法を教えてもらうことが改善への近道です。

歯周病は歯磨き剤やうがい薬だけで治る?

歯周病はセルフケアだけでも治るの?の図解

歯周病用の歯磨き剤やうがい薬は、セルフケアを補助する目的で使用できます。

しかし、どちらも歯ブラシやデンタルフロスによる歯垢除去の代わりにはなりません。

歯磨き剤は歯垢除去を助ける補助用品

歯周病用の歯磨き剤には、殺菌、抗炎症、出血予防などを目的とした成分が含まれている場合があります。

ただし、歯垢は歯の表面に付着しているため、歯ブラシで物理的に取り除く必要があります。

うがい薬だけでは歯垢や歯石を除去できない

うがい薬は液体なので、お口全体へ広がりやすい点が特徴です。

一方で、歯の表面に付着した歯垢や、硬くなった歯石を洗い流すことはできません。歯ブラシと歯間清掃用具を基本にしたうえで、補助的に使用します。

歯茎の出血が止まっても治療完了とは限らない

薬用成分の作用や歯磨きの改善によって、歯ぐきの腫れや出血が軽くなることがあります。

しかし、歯石や深い歯周ポケットが残っている可能性はあります。症状の改善だけで歯周病が治ったと判断するのは危険です。

歯周病用の歯磨き剤やうがい薬は補助的な用品であり、歯垢や歯石を取り除く治療の代わりにはなりません。

市販品を一定期間使っても出血や腫れが続く場合は、別の商品を次々に試すより、歯科医院で原因を確認しましょう。

歯石は自分で取れる?

歯石は、歯垢に唾液中の成分が取り込まれて硬くなったものです。歯の表面へ強く付着しているため、歯ブラシやデンタルフロスでは取り除けません。

歯石の表面には歯垢が付着しやすい

歯石自体が直接歯周病を進行させるというより、表面がざらついているため、新しい歯垢が付着しやすい環境になります。

歯石を残したままでは、歯ぐきの炎症を改善しにくくなります。

市販器具で自分の歯石を削るのは危険

インターネットなどでは、歯石を取るための器具が販売されていることがあります。

しかし、自分で器具を使うと、

  • 歯ぐきを傷つける
  • 歯の表面を削る
  • 歯石を一部だけ残す
  • 汚れを歯ぐきの奥へ押し込む
  • 感染を起こす

といった危険があります。

歯石は付着している場所や量を確認し、歯科医師や歯科衛生士が専用器具を使って除去します。

硬く付着した歯石は自宅では取れません。自分で削ろうとせず、歯科医院で除去してもらいましょう。

セルフケアの役割は、すでに付いた歯石を取ることではなく、歯石のもとになる歯垢を毎日減らすことです。

歯科医院ではどのような歯周病治療をする?

歯科医院では、まず歯周病の進行度や原因を確認し、その結果に合わせて治療を行います。

歯周病治療は、歯石を一度除去して終わりではありません。セルフケアの改善、歯石除去、治療後の再評価、維持管理までが一連の流れです。

歯周ポケットや出血を検査する

歯と歯ぐきの間へ専用の器具を入れ、歯周ポケットの深さや出血の有無を確認します。

必要に応じて、歯の揺れ、噛み合わせ、レントゲン上の顎の骨の状態なども調べます。

歯磨き方法を確認する

歯科医院で歯石を除去しても、毎日歯垢が残れば炎症を繰り返します。

そのため、磨き残しがある場所を確認し、歯ブラシや歯間清掃用具の使い方を患者さんごとに調整します。

歯ぐきより上の歯石を除去する

歯ぐきより上に付着した歯石を、専用器具で除去します。

必要に応じて、歯の表面に付着した着色や歯垢も清掃します。

歯周ポケット内の歯石を除去する

歯周ポケットの中や歯の根の表面に歯石が付着している場合は、器具を歯ぐきの内側へ入れて清掃します。

歯周ポケットが深い場合は、複数回に分けて処置することがあります。

治療後に再検査する

歯石除去とセルフケアの改善後に、歯周ポケットの深さ、出血、歯の揺れなどを再び調べます。

改善していない部分があれば、追加の清掃や歯周外科治療などを検討することがあります。

改善後は定期管理へ移行する

歯ぐきの炎症が落ち着いた後も、歯周病が再発する可能性はあります。

自宅でのセルフケアを続けながら、歯科医院で定期的に状態を確認します。

歯周病治療では、検査、セルフケア指導、歯石除去、再評価、定期管理を段階的に行います。

歯周病治療の流れは、お口の状態によって異なります。以下は一般的な流れを整理したものです。

治療段階 主な内容 目的
検査 歯周ポケット、出血、歯石、歯の揺れなどを確認 歯周病の進行度を判断する
セルフケア指導 歯磨きや歯間清掃の方法を確認 毎日の歯垢を減らす
歯石除去 専用器具で歯石や歯の根の汚れを除去 炎症の原因を減らす
再評価 歯周ポケットや出血を再検査 治療による改善度を確認する
追加治療 深い部分の再清掃や歯周外科治療など 残った炎症へ対応する
定期管理 検査、清掃、セルフケアの確認 歯周病の再発を防ぐ

エアフローなどの機器を使用する場合もありますが、歯周病治療は一つの機器だけで完了するものではありません。歯石の位置や歯周ポケットの深さに合わせて、複数の方法を組み合わせます。

歯周病が治ったかはどう判断する?

歯周病の改善は、自宅で感じる変化と、歯科医院で行う検査の両方から判断します。

  • 自宅で確認できる改善の目安
  • 歯ぐきの赤みや腫れが減った
  • 歯磨き時の出血が減った
  • 朝のねばつきが軽くなった
  • 口臭が軽くなった
  • 歯ぐきが引き締まってきた

これらは良い変化ですが、症状が軽くなっただけでは、深い部分の歯石や歯周ポケットが改善したかどうかはわかりません。

歯科医院で確認する項目

  1. 歯周ポケットの深さ
  2. 検査時の出血
  3. 歯垢の残り方
  4. 歯石の有無
  5. 歯の揺れ
  6. 顎の骨の状態
  7. 噛み合わせ

歯周病治療では、治療後に再検査を行い、炎症が残っていないかを確認します。

出血や腫れが減ることは改善の目安ですが、治療結果は歯周ポケットなどの検査で判断します。

「血が出なくなったから歯医者へ行かなくてよい」と自己判断すると、深い部分の問題を見逃す可能性があります。

どのような症状があれば早めに受診すべき?

歯周病の進行

歯ぐきの軽い赤みや出血でも、長く続いている場合は歯科医院で確認することをおすすめします。

特に、次の症状がある場合は早めに受診してください。

歯ぐきからの出血が続く

  • 数日だけでなく、丁寧に歯磨きを続けても出血が改善しない場合は、歯石や歯周炎が関係している可能性があります。

歯ぐきから膿が出る

  • 歯ぐきを押したときに膿が出る、嫌な味がするといった場合は、歯周ポケットの深い部分で炎症が起きている可能性があります。

歯が揺れる

  • 歯が揺れる場合は、歯を支える顎の骨が減っている可能性があります。
  • 噛み合わせや外傷など別の原因も考えられるため、検査が必要です。

噛むと痛い

  • 歯周病の炎症、歯の根の病気、歯のひびなどが原因として考えられます。
  • 痛い歯を避けて噛み続けるのではなく、早めに原因を調べてもらいましょう。

歯ぐきが大きく腫れている

  • 急に歯ぐきが腫れた場合は、膿がたまっていることがあります。
  • 強い痛み、発熱、顔まで腫れているといった症状がある場合は、早めの受診が必要です。

歯並びが急に変化した

  • 前歯に隙間ができた、歯が移動した、噛み合わせが変わった場合は、歯周病によって歯が動いている可能性があります。

膿、歯の揺れ、強い腫れ、噛んだときの痛み、急な歯並びの変化がある場合は、セルフケアで様子を見続けないでください。

強い症状がなくても、出血や口臭が繰り返す場合は歯科医院で状態を確認しましょう。

歯周病治療のメリットと注意点は?

歯周病治療の目的は、単に歯ぐきからの出血を止めることではありません。炎症を抑え、歯を支える組織の破壊を防ぎ、歯を長く使える状態へ近づけることが目的です。

歯周病治療のメリット

  1. 歯ぐきの炎症を抑えられる
    → 歯垢や歯石を取り除き、セルフケアを改善することで、歯ぐきの赤み、腫れ、出血が軽減する可能性があります。
  2. 歯周病の進行を抑えられる
    → 歯周炎は、放置すると顎の骨がさらに減る可能性があります。早めに治療を行うことで、進行を抑え、歯を残せる可能性を高めます。
  3. 歯磨きしやすい環境を整えられる
    → 歯石や不適合な被せ物などがあると、歯垢が残りやすくなることがあります。必要な処置を行うことで、自宅で管理しやすい環境へ整えます。
  4. 口臭が改善することがある
    → 歯周ポケット内の歯垢や歯石が口臭の原因になっている場合は、治療によって改善する可能性があります。

歯周病治療の注意点

  1. 一度の清掃だけでは終わらないことがある
    → 歯石が多い場合や、複数の歯に深い歯周ポケットがある場合は、数回に分けて治療します。
  2. 処置後にしみることがある
    → 歯石除去後は、歯ぐきの腫れが引いて歯の根元が露出し、一時的に冷たいものがしみる場合があります。
  3. 歯ぐきが下がったように見えることがある
    → 治療によって腫れていた歯ぐきが引き締まると、歯が長く見えることがあります。炎症が治まった結果として起こる変化ですが、見た目が気になる場合は歯科医師へ相談してください。
  4. セルフケアを続けなければ再発する
    → 歯科医院で歯石を除去しても、毎日の歯垢が残れば再び炎症が起こります。歯科治療とセルフケアのどちらか一方だけでなく、両方を継続することが重要です。

歯周病治療は炎症と進行を抑えるために有効ですが、一度の処置で終わらず、セルフケアと定期管理を続ける必要があります。

歯周病治療の期間・通院回数・費用はどのくらい?

歯周病治療にかかる期間や通院回数は、歯周病の進行度、歯石の量、治療する歯の本数、セルフケアの状態などによって異なります。

軽い歯肉炎の場合

歯垢が主な原因で、歯石が少ない場合は、歯磨き方法の改善やクリーニングによって比較的短期間で症状が落ち着くことがあります。

ただし、歯ぐきの状態を再確認するため、複数回の通院が必要になる場合があります。

軽度から中等度の歯周炎の場合

歯周ポケット内に歯石がある場合は、お口をいくつかの範囲に分けて処置することがあります。

治療後は再検査を行い、改善していない部分がないか確認します。

重度の歯周炎の場合

深い歯周ポケット、歯の揺れ、顎の骨の大きな減少などがある場合は、治療期間が長くなる傾向があります。

歯石除去だけで改善しない場合は、歯周外科治療や歯の固定、噛み合わせの調整などを検討することがあります。

通院頻度について

治療中は、処置内容に応じて数週間から1か月程度の間隔で通院することがあります。

状態が安定した後は、3~6か月ごとなどを目安に定期管理を行います。ただし、適切な間隔は全員同じではありません。

  1. 歯周ポケットの深さ
  2. 出血の有無
  3. 喫煙習慣
  4. 糖尿病などの全身状態
  5. 歯垢の残り方
  6. 過去の歯周病の進行度

などを考慮して決めます。

費用について

歯周病の検査や基本的な歯周病治療には、健康保険が適用される場合があります。

ただし、治療内容、使用する材料、選択する処置によって費用は異なります。自費診療のクリーニングや特殊な処置を希望する場合は、事前に費用を確認しましょう。

歯周病治療の期間と通院回数は進行度によって異なり、治療後も再発予防のため定期管理が必要です。

歯周病のセルフケアに関するQ&A

Q1.初期の歯周病なら歯磨きだけで治りますか?

歯ぐきだけに炎症がある歯肉炎であれば、歯垢を丁寧に除去することで改善する可能性があります。ただし、歯石が付着している場合や、歯周炎まで進行している場合は、歯科医院での治療が必要です。

Q2.歯磨きで血が出る場所は磨かない方がよいですか?

出血は歯ぐきに炎症が起きているサインの一つです。強くこする必要はありませんが、やわらかめの歯ブラシで優しく歯垢を取り除きましょう。出血が続く場合は受診してください。

Q3.歯周病用の歯磨き剤を使えば歯石も取れますか?

歯磨き剤で硬く付着した歯石を取り除くことはできません。歯磨き剤はセルフケアを補助するものであり、歯石は歯科医院で専用器具を使って除去する必要があります。

Q4.うがい薬だけでも歯周病を予防できますか?

うがい薬は補助的に使用できますが、歯に付着した歯垢を物理的に落とすことはできません。歯ブラシとデンタルフロス、歯間ブラシによる清掃を基本にしてください。

Q5.症状がなくても歯科医院へ行くべきですか?

歯周病は自覚症状が少ないまま進行することがあります。歯周ポケットや顎の骨の状態は自宅では確認できないため、症状がなくても定期的な歯科健診を受けることが大切です。

まとめ

初期の歯肉炎であれば、自宅で歯垢を丁寧に取り除くことで改善する可能性があります。

しかし、硬く付着した歯石や、深い歯周ポケットの汚れは、自宅の歯磨きだけでは十分に除去できません。炎症が歯を支える顎の骨にまで及んだ歯周炎では、歯科医院での検査と治療が必要です。

自宅で行うセルフケアの基本は、次のとおりです。

  1. 歯と歯ぐきの境目を優しく丁寧に磨く
  2. デンタルフロスや歯間ブラシを使う
  3. 磨く順番を決めて磨き残しを減らす
  4. 歯周病用歯磨き剤やうがい薬は補助的に使う
  5. 喫煙や糖尿病などのリスクにも目を向ける

歯周病治療は、「歯科医院で清掃してもらえば予防も治療も出来る」のではありません。また、「自宅で丁寧に磨けば十分」でもありません。

歯科医院では、自分で除去できない歯石や深い部分の汚れに対応します。自宅では、毎日新しく付着する歯垢を減らします。そして治療後は、定期的に状態を確認し、再発を防ぎます。

歯周病は、歯科医院か自宅かの二択ではなく、両方の役割を組み合わせて管理する病気です。歯ぐきからの出血や腫れが続く、膿が出る、歯が揺れる、噛むと痛いといった症状がある場合は、セルフケアだけで様子を見続けず、早めに歯科医院へご相談ください。

関連ページ:クローバー歯科クリニック豊中駅前院の歯周病治療