子供が歯医者を嫌がるけどどうすれば良い?

クローバー歯科クリニック豊中駅前院 歯科医師 松本 康裕

子供が歯医者を嫌がるときはどうすればいい?

子どもが歯医者を嫌がったり、診療室で泣いたりすることは珍しくありません。知らない場所、器具の音やにおい、口の中を触られる感覚などに不安を感じるのは、子どもにとって自然な反応です。

大切なのは、泣かずに治療を受けることだけを目標にしないことです。診療室へ入る、診療台に座る、口を開ける、鏡で歯を見てもらうなど、できることを少しずつ増やしていきます。

初回に治療まで進めなかったとしても、その受診が無駄になるわけではありません。歯科医院の雰囲気やスタッフに慣れることが、次の診療につながります。

ただし、強い痛み、顔や歯ぐきの腫れ、歯の外傷、発熱などがある場合は、嫌がるからと受診を先延ばしにしない方がよいでしょう。予約時に子どもが歯医者を怖がっていることや、現在の症状を伝えてください。

子どもが歯医者を嫌がるのは自然な反応です。一度で治療を終わらせようとせず、小さな段階に分けて慣れていきましょう。

この記事を読むとわかること

  1. 子どもが歯医者を嫌がる主な理由
  2. 受診前におすすめしたい声かけ
  3. 避けたい言葉や対応
  4. 歯科医院へ慣れるための方法
  5. 年齢別の対応の違い
  6. 発達特性や感覚過敏がある場合の伝え方
  7. 泣いても早めに受診した方がよい症状
  8. 慣れるまでの通院回数や費用の考え方

子どもの「嫌だ」という反応を、わがままや甘えと決めつける必要はありません。何を怖がっているのかを知り、保護者の方と歯科医院が一緒に対応方法を考えることが大切です。

 

目次

子供が歯医者を嫌がるのは珍しいこと?

子どもが歯医者で泣いたり、診療室へ入りたがらなかったりすることは珍しくありません。

大人でも、歯科医院の音やにおい、治療への不安を苦手に感じる方がいます。子どもは治療の必要性や診療の流れを十分に理解できないことがあるため、より強い不安を感じる場合があります。

泣くことは自然な反応

子どもは、怖さや不快感をうまく言葉で表現できないことがあります。

そのため、

  • 泣く
  • 口を閉じる
  • 顔をそむける
  • 診療台から降りようとする
  • 保護者の方へしがみつく

といった行動で不安を表現します。

泣いたことだけを理由に「治療できない子」と判断する必要はありません。泣きながらでも口を開けられる子どももいれば、泣かずに座れても、器具が近づくと強く怖がる子どももいます。

年齢だけで治療できるかは決まらない

「3歳なら治療できる」「5歳なら泣かない」といった明確な基準はありません。

治療への反応は、年齢だけでなく、

  • 発達段階
  • 性格
  • 過去の歯科治療経験
  • 痛みの有無
  • 治療内容
  • その日の体調
  • 感覚への敏感さ

などによって変わります。

一度で治療できなくても失敗ではない

初回にできることが、診療室へ入るところまでの場合もあります。

次のような経験も、歯科医院へ慣れるための大切な段階です。

  • 待合室で過ごせた
  • 診療室へ入れた
  • 診療台の横まで行けた
  • 診療台に座れた
  • 口を開けられた
  • 鏡で歯を見てもらえた

最初からすべてを求めず、前回より少しできることが増えたかを見ていきます。

子どもが歯医者で泣くことは珍しくありません。年齢だけで判断せず、その子どものペースに合わせます。

子どもの歯科受診では、泣かなかったかどうかより、必要な診査や治療へ少しずつ近づけたかが重要です。

子供が歯医者を嫌がるのはなぜ?

子どもが歯医者を嫌がる理由は一つではありません。

「歯医者が嫌」と言われたときは、無理に説得する前に、何が負担になっているのかを考えてみましょう。

知らない場所や人が怖い

歯科医院には、普段の生活では見かけない器具や機械があります。

知らない大人に顔や口元を触られることも、子どもにとっては大きな不安になります。

音やにおいが苦手

歯を削る器具、口の中の水を吸う器具、機械の作動音などを怖がる子どももいます。

歯科医院特有の薬品のにおいや、手袋の感触が苦手な場合もあります。

口の中を触られることに抵抗がある

口の中は見えにくく、何をされているのか本人にはわかりにくい場所です。

口を開け続けることや、舌・頬をよけられる感覚に強い不快感を覚えることがあります。

診療台が倒れることが怖い

仰向けになると周囲が見えにくくなり、自分で自由に動けないと感じる子どももいます。

照明が顔に当たることや、器具が上から近づくことを怖がる場合もあります。

過去に痛い経験をした

以前の治療で痛みや恐怖を感じた場合、歯科医院の建物やにおいだけで、その経験を思い出すことがあります。

歯科医院以外でも、病院で押さえられた経験や、口の中をけがした経験が影響することがあります。

保護者の方の不安を感じ取っている

保護者の方が緊張した表情をしていたり、「痛そう」「怖いね」と話していたりすると、子どもが歯科医院を危険な場所だと感じる可能性があります。

保護者の方自身が歯医者を苦手にしていても問題ありません。ただし、子どもの前で怖い経験を繰り返し話すことは避けた方がよいでしょう。

眠い・空腹・疲れている

子どもは、眠気や空腹、疲れによって不安や不快感が強くなります。

園や学校の後で疲れている時間や、昼寝の時間と重なる予約では、普段より嫌がる場合があります。

感覚過敏や発達特性がある

音、光、におい、触られる感覚に敏感な子どももいます。

見通しが立たないことに強い不安を感じる、言葉だけの説明を理解しにくい、長時間待つことが難しいといった特徴がある場合は、一般的な声かけだけでは慣れにくいことがあります。

子どもが歯医者を嫌がる背景には、場所・音・におい・触られる感覚・過去の経験・体調などがあります。

嫌がる原因がわかると、予約時間や声かけ、診療中の工夫を考えやすくなります。子どもの反応をよく観察し、気になる点は歯科医院へ伝えましょう。

嫌がる主な原因 子どもに見られる様子 保護者の方ができること
初めての場所 待合室や診療室へ入りたがらない 写真や絵を使って事前に流れを見せる
器具の音 音がすると耳をふさぐ、泣く 予約時に苦手な音があることを伝える
口を触られる感覚 顔をそむける、口を閉じる 自宅で口を開ける練習をする
過去の痛い経験 歯医者という言葉だけで嫌がる 嘘をつかず、できるところまでと説明する
眠気・空腹・疲れ 待合室から不機嫌になる 生活リズムに合う時間帯を予約する
見通しが立たない 次に何をするか何度も確認する 短い言葉や絵で順番を伝える

子どもの「嫌だ」は、困らせるための言葉ではなく、何が負担になっているかを知るための情報です。原因を見つけることが、無理の少ない受診につながります。

歯医者へ行く前にはどう伝える?

受診前の説明では、嘘をつかず、子どもの年齢に合う短い言葉を使うことが大切です。何週間も前から繰り返し説明すると、かえって怖い想像を膨らませる子どももいます。予告する時期は、年齢や性格に合わせましょう。

幼児には短く伝える

幼児には、前日または当日に簡潔に伝える方法があります。

例えば、

  • 歯が元気か見てもらおうね
  • お口の中を先生に見てもらおうね
  • 歯をきれいにしてもらおうね

など、理解しやすい言葉を選びます。

治療内容を細かく説明しすぎると、想像が膨らんで不安になる場合があります。

小学生には見通しを伝える

小学生になると、予定や治療の理由を理解しやすくなります。

  • いつ歯科医院へ行くか
  • なぜ診てもらうのか
  • 最初に何をする予定か
  • わからないことは先生へ聞けること

を説明するとよいでしょう。

写真や絵本を使う

歯科医院のホームページに院内写真がある場合は、事前に見せる方法があります。歯医者をテーマにした絵本や、ごっこ遊びを通して、診療台に座る、口を開けるといった流れを知ってもらうことも役立ちます。

子どもに選べることを用意する

子どもがすべてを決めることはできませんが、小さな選択肢を用意すると、自分で参加している感覚を持ちやすくなります。

例えば、

  • どちらの服で行くか
  • どのおもちゃを持って行くか
  • 終わった後にどの絵本を読むか

などです。

受診前は嘘をつかず、年齢に合う短い言葉で、何をする場所なのかを伝えましょう。

大切なのは、怖くないと言い聞かせることではなく、子どもが予測できる範囲を少し増やすことです。

避けた方がいい声かけとは?

子どもを安心させようとして使った言葉が、かえって不安を強くすることがあります。

特に、「絶対に痛くない」「見るだけ」といった断定は、実際の診療内容と違った場合に、保護者の方や歯科医院への信頼を損なう可能性があります。

「絶対に痛くない」と断定しない

歯科治療では、痛みをできるだけ抑える配慮をします。しかし、違和感や圧迫感まで全くないとは限りません。

「痛くない」と断定するよりも、

  • 何をするか先生に聞こうね
  • 怖かったら教えてね
  • 困ったら手を挙げようね

と伝える方が誠実です。

「見るだけ」と嘘をつかない

最初は診査だけの予定でも、その日に必要な処置が見つかる可能性があります。

「まずお口を見てもらおうね」「できるところまでやってみようね」と伝えておくと、予定が少し変わっても嘘になりにくくなります。

歯科治療を罰として使わない

「歯を磨かないと歯医者で削られるよ」「悪い子は注射されるよ」といった言葉は避けましょう。歯科医院が罰を受ける場所だという印象が強くなり、必要な受診まで怖がる原因になります。

泣いたら歯医者さんから怒られると脅さない

泣くこと自体を禁止すると、子どもは治療への不安に加えて、叱られる不安まで抱えることになります。

「怖かったら教えてね」「できるところまでやってみよう」と伝える方がよいでしょう。

兄弟や友達と比較しない

「お兄ちゃんは泣かなかった」「同じ年の子はできる」と比較すると、恥ずかしさや劣等感につながることがあります。

その子ども自身が前回よりできたことへ目を向けます。

嘘、脅し、治療を罰にする表現、兄弟との比較は避けましょう。できる範囲を正直に伝えます。

受診前の言葉は、歯科医院に対する印象を左右します。安心させようと無理に言い切るよりも、子どもが不安を伝えられる言葉を選びましょう。

避けたい言葉 問題になりやすい理由 言い換え例
絶対に痛くないよ 違和感があると嘘だと感じる 何をするか先生に聞こうね
見るだけだよ 処置が必要な場合に信頼を損なう まずお口を見てもらおうね
泣いたら怒るよ 治療に加えて叱られる不安が増える 怖かったら教えてね
歯を削られるよ 歯科医院への恐怖を強める 歯を元気にするために診てもらおうね
お兄ちゃんなのに 恥や劣等感につながる 今日は椅子に座れたね

保護者の方が完璧な言葉を選ぶ必要はありません。怖がらせてしまったと感じた場合も、「前は怖い言い方をしてごめんね」と伝え、これからの受診方法を一緒に考えていけば大丈夫です。

予約時間や当日の準備はどうする?

子どもが歯医者を嫌がりにくくするには、予約時間や当日の過ごし方も重要です。「子どもは午前中がよい」と一律に決めるのではなく、普段の生活リズムに合わせます。

眠気や空腹の時間を避ける

昼寝の直前や食事の直前は、機嫌が悪くなりやすい時間です。

幼児では午前中が向くこともありますが、午後の方が落ち着いて過ごせる子どももいます。

園や学校の後の疲れを考える

園や学校が終わった直後は、疲れや空腹が重なっている場合があります。

可能であれば、比較的余裕のある日や時間帯を選びましょう。

時間に余裕を持って来院する

予約時間に遅れそうになると、保護者の方も焦りやすくなります。

急かされる雰囲気を子どもが感じ取ると、不安が強くなることがあります。少し余裕を持って到着できるようにしましょう。

体調が悪い日は無理をしない

発熱、強い咳、眠気、体調不良などがある日は、歯科診療への負担が大きくなります。

緊急性が低い処置であれば、予約変更を相談することも一つの方法です。

苦手なことを予約時に伝える

次のような情報は、予約時に伝えておくと対応を準備しやすくなります。

  • 初めての歯科受診である
  • 過去に歯科医院で強く泣いた
  • 大きな音が苦手
  • 口元を触られることが苦手
  • 発達特性や感覚過敏がある
  • 痛みや腫れがある
  • 歯をぶつけた
  • お気に入りの物を持参する

医院の方針によりますが、小さなおもちゃ、タオル、ぬいぐるみなど、安心できる物を持参できる場合があります。

持ち込みが可能か、予約時に確認しておくとよいでしょう。

予約は眠気・空腹・疲れを避け、普段比較的落ち着いて過ごせる時間帯を選びましょう。

当日の成功は、診療室の中だけで決まるものではありません。体調と生活リズムを整えることも大切な準備です。

歯科医院ではどのように慣れていく?

子どもの歯科診療では、何をされるかわからない不安を減らすため、段階的に説明や練習を行うことがあります。

代表的な方法の一つがTell-Show-Do法です。

Tell-Show-Do法とは?

Tell-Show-Do法は、次の順番で診療内容を伝える方法です。

  1. Tell → 子どもにわかる言葉で、これから行うことを説明する
  2. Show → 使用する器具や音、動きを見せる
  3. Do → 説明し、見せた内容に沿って処置する

例えば、口の中の水を吸う器具を使う前に、器具を見せ、手の上で吸う様子を確認してから口の中へ入れます。

Tell-Show-Do法を行えば必ず泣かなくなるわけではありませんが、見通しが立たない不安を減らす助けになります。

治療を小さな段階に分ける

その日にどこまで進めるかは、子どもの状態と治療の緊急度によって決めます。

  1. 診療室へ入る
  2. 診療台に座る
  3. 診療台を少し倒す
  4. 口を開ける
  5. 鏡で歯を見る
  6. 歯磨きを受ける
  7. フッ化物塗布を受ける
  8. 治療器具を使う

というように、小さな目標を積み重ねます。

気をそらす方法を使う

  • 医院によっては、映像、音楽、会話などを使い、器具や治療へ意識が集中しすぎないようにすることがあります。
  • 治療中に数を数える、好きな食べ物の話をするなど、簡単な会話が助けになる場合もあります。

中断の合図を決める

  • 言葉で気持ちを伝えられる年齢であれば、「休みたいときは左手を挙げる」などの合図を決める方法があります。
  • 自分で意思を伝えられるとわかることで、安心しやすくなる子どももいます。

できた行動を具体的に褒める

受診後は、結果だけでなく具体的な行動を褒めます。

  • 診療室に入れたね
  • 椅子に座れたね
  • 大きなお口を開けられたね
  • 先生のお話を聞けたね
  • 怖かったけど手を挙げて教えられたね

「泣かなかったから偉い」ではなく、本人が頑張った行動へ注目します。

Tell-Show-Do法などを使い、診療を小さな段階に分けながら、できた行動を具体的に褒めます。

歯科医院に慣れる過程は、階段を一段ずつ上がるように進めます。その日の処置まで進めなくても、次回につながる経験は残ります。

慣れる段階 目標の例 褒め方の例
来院する 待合室まで入る 歯医者さんまで来られたね
診療室へ入る 診療台の近くまで行く お部屋に入れたね
診療台に座る 椅子へ座る 一人で座れたね
口を開ける 鏡で前歯を見る 大きなお口を開けられたね
予防処置を受ける 歯磨きやフッ化物塗布を受ける 先生と一緒にできたね
治療を受ける 必要な処置を行う 怖かったけど頑張れたね

歯科医院に慣れる速さには個人差があります。他の子どもと比べず、その子どもが前回より進めたことを評価しましょう。

保護者は子供と一緒に診療室に入った方がいい?

保護者の方が診療室へ入るかどうかは、子どもの年齢、性格、治療内容、歯科医院の方針によって異なります。

そばにいる方が安心できる子ども

  • 小さな子どもや初めて受診する子どもは、保護者の方が近くにいることで安心できる場合があります。
  • 乳幼児では、保護者の方の膝の上で口の中を確認することもあります。

離れた方が集中できる子ども

  • 保護者の方が近くにいると、何度も助けを求めたり、保護者の方の反応を気にしたりして、歯科医師や歯科衛生士の説明を聞きにくくなる子どももいます。
  • 少し離れた位置から見守る方が、本人とスタッフのやり取りがスムーズになる場合があります。

保護者の方の声かけも大切

  • 診療中に何度も「痛くない?」「怖い?」と確認すると、子どもが「何か怖いことが起こるのでは」と感じることがあります。
  • 必要以上に声をかけず、スタッフの説明を見守ることも大切です。

歯科医院と相談して決める

  • 「必ず付き添う」「必ず一人で入る」と決めるのではなく、その日の子どもの状態を見ながら歯科医院と相談しましょう。

保護者の方の同席がよいかは、年齢や性格によって異なります。歯科医院と相談して決めましょう。

保護者の方と歯科医院は、どちらかが子どもを説得する立場ではありません。同じチームとして、子どもが診療を受けやすい方法を考えます。

年齢によって対応はどう変わる?

子どもへの対応は、年齢や発達段階によって変わります。ただし、同じ年齢でも理解力、経験、不安の強さには個人差があります。年齢はあくまで一つの目安です。

0~2歳頃

0~2歳頃は、言葉だけで治療の必要性を理解することが難しく、泣くことを前提に短時間で診査する場合があります。

  • 保護者の方の膝の上で診る
  • 痛みや腫れの有無を優先して確認する
  • 虫歯や外傷の確認を短時間で行う
  • 家庭での歯磨き方法を保護者の方へ説明する

といった対応が中心になります。

3~5歳頃

3~5歳頃は、簡単な言葉やごっこ遊びを通して、診療の流れを理解しやすくなる時期です。

  • Tell-Show-Do法で器具を見せる
  • 一度に多くを求めない
  • できた行動を具体的に褒める
  • 短い診療から始める

といった方法が向いています。

6~8歳頃

小学校低学年頃になると、不安を言葉で伝えられる子どもが増えてきます。

本人に何が苦手かを聞き、治療の流れや休憩の合図を説明するとよいでしょう。

9歳以上

年齢が上がると、過去の経験をはっきり覚えていることがあります。

子ども扱いしすぎず、治療の必要性、選択肢、処置の順番を本人にも説明することが大切です。

小さい子どもは短時間の診査を優先し、年齢が上がるにつれて本人への説明や意思確認を増やします。

年齢ごとの対応は、以下のように整理できます。ただし、発達段階や歯科経験によって適した対応は異なります。

年齢の目安 よくある反応 対応のポイント
0~2歳 泣く、口を閉じる、保護者へしがみつく 短時間で必要な確認を優先する
3~5歳 器具や音を怖がる Tell-Show-Do法などで段階的に慣らす
6~8歳 不安を言葉で伝え始める 本人の質問を聞き、見通しを伝える
9歳以上 過去の経験から治療を警戒する 治療の理由と選択肢を本人にも説明する

年齢が高いから我慢できるとは限りません。大きな子どもが怖がっている場合も、恥ずかしがらせず、不安の理由を確認しましょう。

発達特性や感覚過敏がある場合はどうする?

発達特性や感覚過敏がある子どもでは、音や光、触られる感覚、予定変更などが強い負担になることがあります。歯科医院側でも対応方法を考えるため、予約時に子どもの特徴を歯科医院へ伝えてください。

苦手な刺激を具体的に伝える

「歯医者が苦手」というだけでなく、

  • 大きな音が苦手
  • 明るい照明が苦手
  • 顔や口元を触られるのが苦手
  • 仰向けになるのが苦手
  • ミントの味やにおいが苦手
  • 長時間待つことが難しい

など、具体的に伝えると対応を準備しやすくなります。

絵や写真で順番を示す

言葉だけでは診療の流れを理解しにくい場合は、写真やイラストを使って、

  1. 待合室へ入る
  2. 診療台に座る
  3. 口を開ける
  4. 歯を見る
  5. 終わったら帰る

という順番を示す方法があります。

待ち時間を短くできるか相談する

待ち時間が長いと不安や疲れが強くなる子どもでは、比較的待ち時間が少ない時間帯を相談する方法があります。

一度に行う処置を少なくする

緊急性が低い場合は、診査、歯磨き、フッ化物塗布などを複数回に分けて行うことがあります。ただし、強い痛みや腫れがある場合は、練習だけでは対応できないため、治療方法を個別に検討します。

対応可能な歯科医院へ相談する

一般的な行動調整だけでは診療が難しい場合は、特別な配慮に対応している歯科医院や医療機関を紹介されることがあります。

感覚過敏や発達特性がある場合は、苦手な刺激と普段有効な対応を予約時に伝えましょう。

家や園で落ち着きやすい声かけ、好きな物、苦手な状況なども歯科医院にとって重要な情報です。

泣いても早めに受診した方がいい症状は?

子どもが歯医者を嫌がる場合、慣れるための時間を取ることは大切です。しかし、症状によっては受診を先延ばしにできません。

強い歯の痛みがある

  • 夜眠れない、食事ができない、痛み止めが必要なほど痛む場合は、虫歯が深く進んでいる可能性があります。
  • 痛みが一度治まっても、神経の状態が悪化していることがあるため、受診が必要です。

顔や歯ぐきが腫れている

  • 歯ぐきや頬が腫れている場合は、細菌感染によって膿がたまっている可能性があります。
  • 発熱や元気の低下を伴う場合は、早めに歯科医院へ連絡してください。

歯をぶつけた・欠けた

  • 転倒や衝突で歯をぶつけた場合、見た目に大きな変化がなくても、歯の根や永久歯に影響していることがあります。
  • 永久歯が抜けた場合は、できるだけ早い対応が必要です。

出血が止まらない

  • 口の中のけがで出血が続く場合は、清潔なガーゼなどで圧迫しながら、歯科医院へ相談してください。

乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきた

  • 乳歯の内側や外側から永久歯が生えてきた場合は、乳歯の揺れや永久歯の位置を確認します。
  • すぐに処置が必要とは限りませんが、歯科医院で診てもらうと安心です。

歯がなかなか生えてこない

  • 左右で生える時期が大きく違う、乳歯が抜けてから長期間たっても永久歯が生えない場合は、永久歯の位置や過剰歯の有無を確認することがあります。

強い痛み、腫れ、発熱、外傷、止まらない出血などがある場合は、嫌がっても受診を先延ばしにしないでください。

予約時に症状と子どもが歯医者を怖がっていることを伝えると、その日の診療で何を優先するか相談しやすくなります。

歯医者に慣れるメリットと注意点は?

歯科医院へ少しずつ慣れることには、虫歯治療を受けやすくする以外にもメリットがあります。一方、慣らすことを優先しすぎて、必要な治療を長く先延ばしにしないよう注意が必要です。

痛くなる前に虫歯を見つけやすい

  • 痛みが出る前に歯科健診を受けると、小さな虫歯や歯磨きの問題を早めに見つけられる可能性があります。
  • 治療が必要になっても、処置の負担を抑えられる場合があります。

歯科医院を治療だけの場所にしない

  • 最初の受診が強い痛みを伴う治療になると、歯科医院への恐怖が強く残ることがあります。
  • 痛みがない時期に、歯科健診、歯磨き、フッ化物塗布などから経験できると、歯科医院を「痛い治療だけをする場所」と感じにくくなります。

歯磨き方法を確認できる

  • 子どもの歯並びや年齢に合わせた歯ブラシの当て方、仕上げ磨きの方法を確認できます。
  • 保護者の方が毎日丁寧に磨いていても、奥歯や歯と歯の間に汚れが残ることがあります。

永久歯や歯並びを確認できる

  • 乳歯から永久歯への生え替わり、永久歯が生えるスペース、噛み合わせなどを定期的に確認できます。

必要な治療は先延ばしにしない

  • 練習を繰り返している間にも、虫歯や炎症が進行することがあります。
  • 治療の緊急性が高い場合は、通常とは異なる対応が必要になることもあります。歯科医師から治療の必要性と選択肢について説明を受けましょう。

歯科医院に慣れると、痛みが出る前の予防や早期治療につながります。ただし、必要な治療を長く延期しないことも重要です。

「慣れるまで待つか」「早めに治療するか」は、子どもの協力度だけでなく、虫歯や症状の進行度から判断します。

慣れるまでの期間・通院回数・費用は?

子どもが歯科医院へ慣れるまでの期間や通院回数には、個人差があります。初回から診査や処置ができる子どももいれば、診療台へ座るまでに複数回の受診が必要な子どももいます。

通院回数に影響する要素

慣れるまでの回数は、次のような要素によって変わります。

  • 子どもの年齢と発達段階
  • 過去の歯科経験
  • 痛みや腫れの有無
  • 必要な治療内容
  • 感覚過敏の有無
  • 歯科医院の環境
  • 子どもとスタッフとの関係

「何回通えば必ず治療できる」という基準はありません。

予防目的の場合

痛みがなく、歯科健診やフッ化物塗布が目的の場合は、無理のない範囲で段階的に慣れる時間を取りやすくなります。

治療が必要な場合

虫歯治療が必要な場合は、治療の緊急度と子どもの状態を見ながら進めます。

小さな虫歯であれば、歯磨きやフッ化物を行いながら慣れる期間を取れることもあります。一方、強い痛みや腫れがある場合は、早めの処置が必要です。

費用について

子どもの歯科診療では、健康保険や自治体の医療費助成が利用できる場合があります。

対象年齢、自己負担、助成内容は自治体によって異なります。フッ化物塗布や予防処置についても、診療内容や医院によって費用が異なるため、予約時に確認してください。

歯科医院へ慣れるまでの回数は子どもによって異なります。治療の緊急度を確認しながら、その子どもに合うペースで進めます。

回数を少なくすることだけを優先せず、将来も歯科医院へ通える経験を作ることが大切です。

子供が歯医者を嫌がることに関するQ&A

Q1.泣いて暴れても歯医者へ連れて行くべきですか?

強い痛み、腫れ、発熱、外傷などがある場合は、嫌がっても受診を先延ばしにしない方がよいでしょう。症状がない歯科健診では、子どもの状態に合わせて段階的に慣れていく方法もあります。予約時に状況を伝えてください。

Q2.「痛くないよ」と言ってもよいですか?

痛みや違和感が絶対にないとは言い切れないため、断定しない方がよいでしょう。「何をするか先生に聞こうね」「怖かったら教えてね」など、嘘にならない言葉がおすすめです。

Q3.治療できなかった日は意味がありませんか?

治療まで進めなくても、診療室へ入る、椅子に座る、口を開けるという経験は次回につながります。できなかったことを叱らず、その日にできた具体的な行動を褒めましょう。

Q4.保護者も診療室に入れますか?

歯科医院の方針、子どもの年齢や性格、治療内容によって異なります。保護者の方がそばにいる方が安心できるか、少し離れた方が診療へ集中できるかを歯科医院と相談しましょう。

Q5.何歳になれば泣かずに治療できますか?

治療への反応は年齢だけでは決まりません。発達段階、性格、過去の経験、処置内容、体調などによって異なるため、その子どもに合ったペースで進めます。

まとめ

子どもが歯医者を嫌がったり、診療室で泣いたりすることは珍しくありません。

知らない場所や人、器具の音、におい、口の中を触られる感覚など、子どもが不安になる理由はたくさんあります。

保護者の方は、次の点を意識してみてください。

  • 嘘をつかず、短い言葉で受診を伝える
  • 「痛くない」「見るだけ」と断定しない
  • 歯科治療を罰として使わない
  • 眠気や空腹を避けて予約する
  • 苦手な音や感触を予約時に伝える
  • 診療を小さな段階に分ける
  • できた行動を具体的に褒める
  • 兄弟や友達と比較しない

歯科医院では、Tell-Show-Do法などを用い、器具や診療の流れを説明しながら少しずつ慣れてもらうことがあります。

初回に治療できなかったとしても、診療室へ入れた、椅子に座れた、口を開けられたという経験は次の受診につながります。

子どもの歯科受診で大切なのは、泣かないことではなく、必要な診査や治療へつながることです。

ただし、強い痛み、顔や歯ぐきの腫れ、発熱、歯の外傷、止まらない出血などがある場合は、慣れるまで長く待つことはできません。予約時に症状と子どもが歯科医院を嫌がることを伝え、対応方法をご相談ください。

関連ページ:クローバー歯科クリニック豊中駅前院の小児歯科治療