口が開きづらい、顎関節で音がするのは顎関節症のせい?

クローバー歯科クリニック豊中駅前院 歯科医師 松本 康裕

口が開きづらい・顎がカクカク鳴るのは顎関節症?

口が開きにくい、顎を動かすと音がする、顎の関節や周囲の筋肉が痛むといった症状は、顎関節症でみられる代表的な症状です。 日本顎関節学会でも、「あごが痛む」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」の3つを代表的な症状として挙げています。日本顎関節学会「顎関節症とは」

ただし、顎が鳴るだけで痛みや開けにくさがない場合には、必ずしも治療が必要とは限りません。 一方、痛みが続く、口が急に開かなくなった、食事がしにくい、外傷後に症状が出た場合などは、歯科や歯科口腔外科への相談をおすすめします。日本口腔外科学会も、痛みがあり口がスムーズに開けにくい場合には口腔外科への受診を勧めています。日本口腔外科学会「顎関節」

顎関節症は「噛み合わせが悪いから起こる」と単純に考えられる病気ではありません。歯ぎしりや食いしばり、上下の歯を接触させ続ける癖、顎に負担のかかる習慣、心理的・社会的な要因など、複数の要素が関係することがあります。

この記事では、顎関節症の症状や原因、顎が鳴る理由、セルフケア、治療方法、「どのくらい口が開かなければ受診した方がよいのか」といった判断の目安までわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  1. 口が開きづらい・顎が鳴る原因
  2. 顎関節症の代表的な症状
  3. 顎がカクカク・ジャリジャリ鳴る理由
  4. 顎関節症を起こしやすい要因
  5. 顎関節症のセルフケア
  6. 顎関節症で避けたい行動
  7. マウスピースなどの治療方法
  8. 歯科・歯科口腔外科を受診する目安

 

目次

口が開きづらい・顎が鳴るのは顎関節症?

口が開きにくい、顎関節や周囲の筋肉が痛い、口を開閉するとカクッ・コキッと音がするといった症状は、顎関節症でみられる代表的な症状です。ただし、顎の音だけで顎関節症の治療が必要と判断することはできません。痛みや開口障害、食事など日常生活への影響があるかどうかも重要です。

口が開きづらい・顎が鳴る・顎が痛い場合は顎関節症の可能性があります。

日本顎関節学会では、顎関節症の代表的な症状として次の3つを挙げています。

  1. 顎が痛む
    → 耳の前にある顎関節や、頬・こめかみなど顎を動かす筋肉に痛みを感じることがあります。
  2. 口が開きにくい
    → 大きな食べ物を口に入れにくい、あくびをすると痛い、以前より口が開かなくなったと感じることがあります。
  3. 顎を動かすと音がする
    → 口を開閉すると「カクッ」「コキッ」といった音がしたり、「ジャリジャリ」と感じたりすることがあります。

顎関節症の症状は一つだけの場合もあれば、いくつかが同時に現れることもあります。
まずは代表的な症状と、受診を考えたい状態を整理してみましょう。

症状 具体的な感じ方 受診を考えたい状態
顎の痛み 噛む・開けると耳の前や頬が痛む 痛みが続く、食事に支障がある
開口障害 口を大きく開けにくい 急に開かなくなった、食べにくい
顎関節雑音 カクッ、コキッ、ジャリジャリと音がする 音に痛みや開口障害を伴う
顎の動かしにくさ 左右に動かしにくい、引っかかる 動きが急に変わった、症状が続く

日本口腔外科学会でも、顎の関節音、口が開けにくい、顎が痛いといった症状がある場合は顎関節症が疑われるとしています。ただし、症状の有無だけで自己診断するのではなく、必要に応じて歯科医師の診察を受けることが大切です。

顎関節症とはどんな病気?

顎関節症の原因の図解

顎関節症は一つの病気を指すのではなく、顎関節や顎を動かす咀嚼筋に起こる痛み、関節音、開口障害、顎の動きの異常などをまとめた病名です。関節そのものだけでなく、筋肉や関節円板など、症状が起きている場所や状態によっていくつかのタイプがあります。

顎関節症は、顎関節・関節円板・咀嚼筋などに生じる障害をまとめた病名です。

顎関節は耳のすぐ前に左右1つずつあり、下顎の骨と頭蓋骨をつないでいます。その間には「関節円板」と呼ばれるクッションのような組織があり、口を開閉するときに顎関節が滑らかに動くのを助けています。

また、食べ物を噛んだり口を開閉したりするときには、顎関節だけでなく周囲の咀嚼筋も働きます。

日本顎関節学会では、顎関節症には大きく、

  1. 咀嚼筋に痛みが生じるもの
  2. 顎関節に痛みが生じるもの
  3. 関節円板にずれなどが生じるもの
  4. 顎関節を構成する骨に変化が起きるもの

などが含まれるとしています。

そのため、「顎関節症」と一言でいっても、患者さんによって症状や原因、適した治療方法は同じではありません。

顎関節症の原因は噛み合わせなの?

顎関節症は「噛み合わせだけ」が原因で起こる病気ではありません。現在は、歯ぎしり・食いしばり、上下歯列接触癖、顎に負担をかける行動、外傷、心理的・社会的な要因など、複数の要素が関係して発症・悪化すると考えられています。そのため、原因を一つに決めつけず、患者さんごとに負担となっている要素を確認することが重要です。

顎関節症は一つの原因ではなく、複数の要因が重なって起こることがあります。

日本顎関節学会の専門書でも、顎関節症の発症メカニズムについて「多因子説」やリスク因子が扱われています。

代表的な要因には次のようなものがあります。

歯ぎしり・食いしばり

睡眠中の歯ぎしりや、日中に無意識で強く噛みしめる習慣があると、顎関節や周囲の筋肉に負担がかかります。

TCH(上下歯列接触癖)

食事などをしていないときにも、上下の歯を軽く接触させ続けてしまう習慣を「上下歯列接触癖」と呼びます。

厚生労働省の「こころの耳」でも、歯ぎしり・食いしばり・上下歯列接触癖は、顎関節症の悪化につながる要因として紹介されています。厚生労働省「こころの耳|ストレスと口の健康」

顎に負担がかかる生活習慣

頬杖、長時間の同じ姿勢、硬いものを繰り返し噛むといった習慣が顎への負担を増やすことがあります。

心理的・社会的な要因

緊張したときに食いしばるなど、ストレスと口の習慣が関連するケースがあります。厚生労働省もストレスと歯ぎしり・食いしばりなどの関連について解説しています。

外傷

転倒やスポーツによる打撲などがきっかけとなって、顎関節周辺に症状が現れることがあります。

顎関節症では、「原因を一つ探して取り除けば治る」とは限りません。
日常生活の中にどのような負担が隠れているのかを一つずつ確認することが重要です。

関係する要因 具体例 見直すポイント
歯の接触習慣 TCH、日中の食いしばり 安静時は上下の歯を離す
睡眠中の習慣 歯ぎしり・食いしばり 症状に応じて歯科医院で相談する
生活習慣 頬杖、硬い食べ物、長時間同じ姿勢 顎に負担をかける習慣を減らす
心理・社会的要因 緊張、ストレスなど 食いしばっていないか意識する
外傷 転倒、顔面への打撲 外傷後の症状は受診して確認する

顎関節症を「噛み合わせの悪さだけが原因」と決めつけると、本当に負担になっている習慣を見逃す可能性があります。患者さんの生活背景も含めて考えることが、治療の第一歩になります。

顎がカクカク・コキッと鳴るのはなぜ?

口を開閉したときの「カクッ」「コキッ」という音は、顎関節内にある関節円板の位置や動きなどが関係して生じることがあります。一方、「ジャリジャリ」「ザラザラ」と感じる音では、別の関節変化が関係することもあります。ただし、音だけで顎関節の状態を正確に診断することはできません。

顎の音には関節円板などが関係しますが、音の種類だけで病態を自己診断することはできません。

口を開けた瞬間に、

「カクッ」
「コキッ」

という音がする方がおられます。

顎関節の中には、骨と骨の間でクッションの役割をする関節円板があります。日本顎関節学会は、関節円板のずれが生じる「顎関節円板障害」を顎関節症の一つとして挙げています。

また、

「ジャリジャリ」
「ザラザラ」

と感じる音が生じる場合もあります。

顎関節症には骨の変化を伴うタイプもあるため、音の性質が違うことがあります。

ただし、

「カクッという音だから関節円板が○○になっている」と、音だけから判断することはできません。

診断では問診、顎の動き、痛みの場所、関節音などを確認し、必要に応じてレントゲンやMRIなどを用います。日本顎関節学会も、顎関節症の診断ではこのような検査を組み合わせ、他の病気を除外することが重要としています。

顎が鳴るだけなら治療しなくても大丈夫?

顎を動かすと音がするものの、痛みがなく口も十分に開き、食事や会話にも困っていない場合には、音そのものだけを理由に積極的な治療を行わず、経過を見ることがあります。一方、音とともに痛みや口の開きにくさ、引っかかりなどがある場合には診察を受けた方がよいでしょう。

顎の音だけなら治療が必要とは限りません。痛みや開口障害を伴うかが重要です。

「顎が鳴ると、関節が壊れているのでは?」と心配される方もいます。しかし、顎関節症の治療では、音を完全になくすことだけを目標にするわけではありません。

日本顎関節学会では、顎関節症について、多くの場合は標準的な治療や自己管理によって快方に向かうことが知られていると説明しています。

私たちが大切にしたいのは、

  1. 痛みがあるか
  2. 口が十分に開くか
  3. 食事ができるか
  4. 会話に困らないか
  5. 顎が引っかかることがあるか

といった、患者さんの日常生活への影響です。

音が残っていても痛みがなく、日常生活に支障がないケースもあります。「音が鳴っているから、何としてでも音を消さなければならない」と考えすぎないことも大切です。

口がどのくらい開かなければ注意が必要?

口の開き方には個人差がありますが、以前より明らかに開かなくなった、食事に必要な大きさまで開けられない、痛くて開けられないといった変化がある場合には注意が必要です。指の本数などによるセルフチェックはあくまで目安であり、数値だけで顎関節症の診断はできません。

開く量そのものより、「以前より開かない」「食事に困る」という変化を重視しましょう。

顎関節症では、診察時に口がどの程度開くかを測定することがあります。日本顎関節学会の診断でも開口域の計測が用いられています。自宅では「縦に指が何本入るか」を確認する方法が知られていますが、指の太さや口の大きさには個人差があります。

そのため、「指が3本入らないから顎関節症」と自己診断するのはおすすめしません。

むしろ重要なのは、

  1. 数日前から急に口が開かなくなった
  2. 以前より明らかに開く量が減った
  3. 食べ物を口に入れづらい
  4. 開けようとすると強く痛む
  5. 顎が途中で引っかかる

といった変化です。

日本口腔外科学会も、顎に痛みがあり、口がスムーズに開きにくくなった場合には口腔外科への受診を勧めています。

顎関節症は自然に治ることもある?

顎関節症の中には、顎への負担を減らし、生活習慣を見直すことで症状が軽くなるケースがあります。日本顎関節学会も、多くの顎関節症は標準的な治療や自己管理によって快方に向かうとしています。ただし、強い痛みや開口障害などがある場合は自己判断だけで長期間放置しないことが大切です。

軽い顎関節症はセルフケアで改善することもありますが、症状が強い場合は受診しましょう。

顎関節症という名前を聞くと、「一生付き合う病気なのでは?」と心配になるかもしれません。しかし、日本顎関節学会では、顎関節症は命に関わるような病気ではなく、多くの場合は適切な診察・検査、標準的な治療、自己管理によって快方に向かうことが知られていると説明しています。

軽度の症状であれば、

  1. 顎に負担をかけすぎない
  2. 上下の歯を接触させ続けない
  3. 大きく口を開けすぎない
  4. 硬いものを控える

などによって症状が落ち着く場合があります。

ただし、「自然に治ることがある」と「何でも放置してよい」は別です。強い症状がある場合には診察を受けましょう。

顎関節症ではどんな治療をする?

顎関節症の治療では、まず患者さんの症状や顎への負担を確認し、セルフケア、鎮痛薬、運動療法、必要に応じてマウスピースなどの保存的な治療を検討します。顎関節症の症状改善を目的として、最初から歯を削って噛み合わせを変えるような不可逆的治療を行うことは推奨されていません。

顎関節症では、まず元に戻せる保存的な治療から始めるのが基本です。

治療方法は顎関節症のタイプや症状によって異なります。

代表的には、

  1. セルフケア
  2. 鎮痛薬などの薬物療法
  3. 顎の運動療法
  4. マウスピースを使った治療

などが検討されます。

日本顎関節学会は「顎関節症初期治療診療ガイドライン2023改訂版」を公開しています。日本顎関節学会「顎関節症初期治療診療ガイドライン2023改訂版」

マウスピースは全員に必要?

顎関節症では、患者さんの状態によってスタビライゼーション型のマウスピースが使用されることがあります。

ただし、マウスピースは作れば終わりではありません。日本顎関節学会のガイドラインでは、適切に作製・調整・使用されなければ害が生じる可能性にも触れています。

噛み合わせを削れば治る?

ここは特に注意が必要です。

日本顎関節学会のガイドラインでは、顎関節症の症状改善を目的とした咬合調整、つまり歯を削って噛み合わせを変える治療は行わないことを推奨しています。日本顎関節学会「顎関節症患者さんのための初期治療診療ガイドライン」

一度削った天然歯は元には戻せません。

そのため、顎関節症だからといって、最初から歯を削る治療を行うのではなく、元に戻せる方法から検討することが重要です。

自宅でできる顎関節症のセルフケアは?

顎関節症のセルフケアでは、痛みがある時期に顎へ過度な負担をかけないことが基本です。硬いものや大きな食べ物を避け、上下の歯を接触させ続けないよう意識し、大きなあくびなど過度な開口を控えます。ただし、強い痛みや急な開口障害がある場合にはセルフケアだけで済ませず受診しましょう。

セルフケアの基本は、顎を使いすぎず、無意識の食いしばりを減らすことです。

顎に痛みがある時期は、無理に動かして鍛えるより、まず負担を減らすことが大切です。
日常生活で取り入れやすい方法を整理します。

セルフケア 具体的な方法
上下の歯を離す 食事以外では歯を接触させ続けないよう意識する
硬い食べ物を控える 痛みが強い時期は柔らかく食べやすいものを選ぶ
大きく開けすぎない 大きなあくびや一口の大きな食べ物を避ける
頬杖を見直す 顎に長時間負担がかかる姿勢を避ける
食いしばりに気づく 仕事中などに上下の歯が触れていないか確認する
同じ姿勢を続けない デスクワーク中は時々姿勢を変える

厚生労働省も、歯ぎしり・食いしばり・上下歯列接触癖について、まず本人がその癖に気づき、上下の歯が接触していれば力を抜く方法を紹介しています。

セルフケアは特別な道具がなくても始められます。
まず「普段、何もしていないときにも歯を噛み合わせていないか」を確認してみるとよいでしょう。

顎関節症でやってはいけないことは?

顎が痛いときに無理やり大きく口を開ける、何度も顎を鳴らす、硬いものを繰り返し噛むといった行動は、顎関節や周囲の筋肉に負担をかける可能性があります。また、顎関節症だからという理由だけで歯を削って噛み合わせを変える治療を急ぐことも避けたいところです。

痛みがあるときは「鳴らす・無理に開ける・使いすぎる」を避けましょう。

特に注意したいのは次のような行動です。

  1. 顎をわざと何度も鳴らす
    → 音が気になると、確認するために何度も口を開閉したくなるかもしれません。しかし、繰り返し顎を動かすことで負担を増やす可能性があります。
  2. 痛いのに無理に大きく口を開ける
    → 日本口腔外科学会も、症状がある場合には無理に大きく口を開けないよう案内しています。
  3. 硬い食品を繰り返し噛む
    → 顎に痛みがある時期には、顎を休ませることを優先しましょう。
  4. 自己判断で強いマッサージを続ける
    → 痛みの原因によって対応が異なるため、痛みを我慢して強く刺激するのは避けます。
  5. 安易に歯を削って噛み合わせを変える
    → 日本顎関節学会は、症状改善を目的とした咬合調整を推奨していません。

セルフケアは「たくさんやればよい」というものではありません。顎を治そうとして触りすぎることが、かえって顎を休ませる時間を減らしてしまうことがあります。

顎関節症ではなく別の病気の可能性もある?

口が開かない、顎が痛いといった症状があっても、すべてが顎関節症とは限りません。顎関節脱臼、顎の骨折、歯や歯茎の病気などでも似た症状が起こることがあります。特に外傷後の腫れや噛み合わせの変化、口が閉じられないといった症状がある場合は早めの受診が必要です。

「顎が痛い・開かない=顎関節症」と自己判断しないことも重要です。

日本顎関節学会でも、顎関節症の診断では、同じような症状を起こす他の病気がないことを確認するとしています。

例えば、

口が閉じられなくなった

顎関節脱臼の可能性があります。

日本口腔外科学会では、顎が外れて元に戻らない場合にはすぐに口腔外科を受診するよう案内しています。日本口腔外科学会「顎がはずれた」

転倒・打撲後から口が開きにくい

顎の骨折なども考える必要があります。

下顎骨骨折では、痛み、腫れ、噛み合わせの変化、開閉困難などが起こることがあります。

歯そのものが痛む

虫歯、歯周病、親知らずなど歯や歯茎の病気が顎周囲の痛みとして感じられる場合もあります。

顎関節症らしい症状があっても、まず診察でほかの病気が隠れていないか確認することが大切です。

顎関節症は何科を受診すればいい?

顎の痛み、開口障害、顎関節の音などが気になる場合は、まず歯科で相談できます。症状が強い場合、診断が難しい場合、外傷や顎関節の詳しい検査が必要な場合には歯科口腔外科が適することがあります。急に口が開かない・閉じられない場合などは早めの受診をおすすめします。

顎関節症が疑われる場合は、歯科または歯科口腔外科へ相談しましょう。

軽い音だけの場合と、強い痛みや開口障害がある場合では緊急性が違います。
次のような状態を受診判断の参考にしてください。

状態 受診の考え方
音だけで痛みがない 経過を見られる場合もあるが、気になる場合は歯科で相談
顎の痛みが続く 歯科・歯科口腔外科へ相談
口が開きにくく食事に困る 早めの受診をおすすめ
急に口が開かなくなった 早めに歯科口腔外科などへ相談
口が閉じられない 顎関節脱臼などの可能性があるため速やかに受診
転倒・打撲後に痛みや噛み合わせの変化がある 骨折なども考えられるため早めに受診

日本口腔外科学会も、痛みがあり口がスムーズに開きにくくなった場合には口腔外科を受診するよう勧めています。「まだ口は開くから大丈夫」と我慢するのではなく、普段の食事や会話に支障が出ているかも受診を考える目安になります。

顎関節症の治療期間・通院回数・費用はどのくらい?

顎関節症の治療期間や通院回数は、症状の種類や重症度、治療方法によって大きく異なります。セルフケアを中心に経過を見るケースもあれば、薬物療法、運動療法、マウスピースなどを併用しながら複数回の通院が必要になる場合もあります。費用についても検査や治療内容によって異なります。

顎関節症の期間・通院回数・費用は一律ではなく、症状と治療方法によって変わります。

顎関節症では、「マウスピースを入れれば何週間で治る」というように、治療期間を一律に決めることはできません。顎関節症には筋肉の痛みが中心のタイプ、関節痛が中心のタイプ、関節円板が関係するタイプなど複数の病態があるためです。

軽いケースではセルフケアを続けながら経過を確認することもあります。

一方、

  1. 痛みが強い
  2. 開口障害がある
  3. マウスピースの調整が必要
  4. 症状が長期間続いている
  5. 別の病気との鑑別が必要

といった場合には、複数回の受診が必要になることがあります。

レントゲンやMRIなどの検査が必要になるケースもあります。日本顎関節学会も、診断では必要に応じて画像検査を行うとしています。具体的な治療期間・通院回数・費用については、診察後に確認しましょう。

顎関節症についてよくある質問

Q1. 顎がカクカク鳴るだけでも顎関節症ですか?

顎関節の音は顎関節症の代表的な症状の一つです。
ただし、音がするだけで痛みも開口障害もない場合には、必ずしも積極的な治療が必要とは限りません。痛みや食事への影響がある場合は歯科医院へ相談してください。

Q2. 顎関節症は自然に治りますか?

症状が軽い場合には、顎への負担を減らすセルフケアなどで症状が落ち着くことがあります。日本顎関節学会も、多くのケースは標準的な治療や自己管理によって快方に向かうとしています。
ただし、強い痛みや開口障害がある場合は受診が必要です。

Q3. 顎関節症はストレスが原因ですか?

ストレスだけが原因とはいえません。
ただし、緊張時の食いしばりなどを通して顎への負担が増えることがあります。厚生労働省もストレスと歯ぎしり・食いしばりなどの関連について紹介しています。

Q4. 顎関節症はマウスピースで治りますか?

症状や病態によってはマウスピースが使用されますが、すべての顎関節症に必要な治療ではありません。
日本顎関節学会のガイドラインでもマウスピース治療について扱われていますが、適切な作製・調整・使用が重要とされています。

Q5. 顎関節症で口が開かないときは無理に開けた方がいいですか?

痛みが強いときに自己判断で無理に大きく開けることはおすすめしません。
日本口腔外科学会も、症状がある場合は無理に大きく口を開けないよう案内しています。

Q6. 顎関節症を治すために噛み合わせを削ることはありますか?

顎関節症の症状改善だけを目的に歯を削って噛み合わせを調整する治療は、日本顎関節学会のガイドラインで推奨されていません。
天然歯は一度削ると元に戻せないため、慎重な判断が必要です。

Q7. 顎関節症は何科に行けばいいですか?

顎関節症が疑われる場合は、歯科または歯科口腔外科へ相談できます。
特に痛みが強い、急に口が開かなくなった、外傷後に症状が出たといった場合は、歯科口腔外科への受診も検討しましょう。

まとめ|顎の音だけではなく「痛み・開きにくさ・生活への影響」で判断しましょう

口が開きづらい、顎を動かすとカクカク音がする、顎の関節や筋肉が痛むといった症状は、顎関節症でみられる代表的な症状です。日本顎関節学会でも、顎の痛み、開口障害、顎関節雑音を代表症状として挙げています。

ただし、顎が鳴るだけで必ず治療が必要というわけではありません。

この記事で特に覚えておいていただきたいのは、「音があるか」よりも、「顎がきちんと機能しているか」を見ることが大切という点です。

痛みがなく、口が十分に開き、食事や会話に支障がないのであれば、音だけをなくすために積極的な治療を行わず経過を見る場合があります。

一方、

  1. 顎の痛みが続く
  2. 以前より口が開かなくなった
  3. 食事がしにくい
  4. 顎が引っかかる
  5. 急に口が開かなくなった
  6. 口が閉じられない
  7. 転倒や打撲後から症状が出た

といった場合は歯科医院へ相談しましょう。日本口腔外科学会も、痛みがあり口がスムーズに開けにくい場合には口腔外科への受診を勧めています。

また、顎関節症は「噛み合わせだけ」が原因で起こる病気ではありません。歯ぎしり、食いしばり、上下歯列接触癖、生活習慣、心理的・社会的な要因など、複数の要素が関係することがあります。

そのため治療でも、原因を一つに決めつけたり、最初から歯を削って噛み合わせを変えたりするのではなく、患者さんの日常生活の中で顎への負担になっていることを探し、できるだけ元に戻せる方法から改善を目指すことが重要です。 日本顎関節学会のガイドラインでも、顎関節症の症状改善を目的とした咬合調整は推奨されていません。

「顎が鳴るから怖い」と必要以上に心配する必要はありませんが、痛みや開きにくさを我慢し続ける必要もありません。気になる症状が続いている場合は、一度歯科医院で顎関節や筋肉の状態を確認してもらいましょう。

 

顎関節症の原因の図解